第2話 お母さんと一緒
頭についたチョロチョロは触角というらしい。私はこの触角を使って、周囲を観察した。およそ、20匹程度が私の周りにいることがわかった。
お母さんは私たちの周りをウロウロした後、私たちの横で立ち止まった。そしてお尻から黒い粒、糞を落とした。コロコロとした糞である。
(良いニオイ・・・・・・)
私だけではない。私以外にもその糞に集まった。
私たちはお腹が空いているのだ。
お母さんが落とした糞は一粒だが、よく感じると周囲にはこれまでお母さんが落としてきた糞がたくさん落ちていた。
みんなで糞で群がり、糞のニオイを嗅ぎ、糞を食べているのだ。
糞以外にも、周囲には食べ物があることに気付き、私たちは食べたいだけ食べた。
周囲にはお母さん以外にも、私たちの糞もたくさん落ちている。どうやらこの糞には独特のニオイがあるみたいだった。
私たちはみんな、遊びに出かけるけど、この場所のニオイを目印にして戻ってくることができた。まれに遊びに出掛けたまま戻ってこない子もいるみたいだけど。
そうこうして1週間が経過したころ。周囲のみんなの体が膨らんでいる。目もくすんでいる。
(あれ、私も・・・・・・)
私の目もくすみ始めた。気持ち悪い。気持ち悪い。なんだか、良くない気がする。
(早くここを離れないと・・・・・・!)
私はすぐにこの集団から離れ、誰にも見つからなさそうな物陰に隠れた。
メリッ!メリメリッ!
頭の皮膚が破れ、私はそこから体を出した。
しばらく時間がかかり、私は全身を脱ぎ捨てることができた。いわゆる脱皮である。
体が真っ白で、うまく力が入らない。それに、身体も柔らかい。
(このまま移動するのは危険そうだからジッとしてよう)
そのまま、およそ半日がかかり、ようやく体の色が元に戻った。以前よりも体が大きくなっているみたいだ。触角も少し長くなっている。初めての脱皮は無事に完了した。
(この脱皮した後の殻、食べられそうだな)
貴重な栄養だし、殻も残さず食べた。
(早く元の場所に戻ろう)
元の場所では、私と同じように脱皮をした子たちも戻ってきていた。
(あれ、あの子は?)
1匹だけ、脱皮が遅れ、集団の中で脱皮しようとしている子がいた。
(ほかの脱皮を見るのは初めてだな)
胸まで体が出たところで、違和感を得た。
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