第7話 学校関係者
「ユミト・オートリはどんな人物でしたか?」
【世界史担当教師 金城英二】
大鳳ですか。年頃の男子にしてはおとなしいというか、まあ、優等生とまではいきませんけど、扱いやすい生徒でしたよ。
居眠りも宿題忘れるのも、他の生徒に比べれば少ない方でしたしね。あとテストの間違え方が斬新で面白くて、職員室でも度々話題になっていました。
いやぁ、中々の大物でしたね。大鳳。
柔道部の顧問も担当しておりますので、生徒には汗臭いだの堅苦しいだの言われますが、それでも生徒は可愛いし、彼らの成長を見守るのが私の何よりの喜びなんです。
もちろん、大鳳もその一人でしたよ。ええ。
【食堂購買部勤務 山川文恵】
成長期の男の子だもの。そりゃあ、よく来てたわよ。お友達と一緒に昼休みにね。
ただ他の子と違って、あの子はパンよりもおにぎりをよく買ってくれたわ。あの子のお陰でおにぎりの売上げが上がって、購買のおばちゃんとしても嬉しかったのよねぇ。
よく買っていたのは、えーと、唐揚げマヨと昆布だったかしら。あと期間限定の商品ね。
あっ、せっかくだもの!よかったら昆布のおにぎり、食べていってちょうだい!
【後輩 花田正哉】
大鳳先輩は同じ委員会で、ちょいちょい話したりしたっす。
面白い人でしたよ。え、面白いエピソード?
えっと、委員会の終わりに飲み物奢ってくれるって言ってくれて。で、ついていったんですけど、自販機の前で財布開けたら、その瞬間財布ぶっ壊れたんすよ!で、中身全部ブチ撒けて、小銭もカードも辺りにバラバラバラーって!
ヤベエって思いながらめっちゃ焦って小銭拾ったら、先輩が「拾った小銭は全部あげるからそれで好きなの買って」って言って去っていったんですよ。
カッケー!って思っいながらお礼して小銭全部自販機に入れたらですよ!そしたら!なんと!
……全部で百十円だったんすよ!
マジでウケません?あれだけカッコつけといて総額百十円て!
いや、嬉しいは嬉しいんですけど!なんかそう言う時って想定以上の金額であってほしいじゃないですか!具体的には……せめて三百円くらい?
でもまあ、俺も日頃から良くしてもらってましたんで。先輩には百十円事件のことは言ってないですけど。
あ、何かアレなんで、この話あまり他の人に言わないであげてくださいね。先輩のために。
※
学校関係者へのインタビューをすればするほど、英雄の姿は、ありふれた少年の姿に変わっていく。
世界平和のために戦った、聖人とも言われた彼の本当の姿とは……。
もう一人の人物のインタビューの約束まで、あと少し時間がある。
私はその間、ユミトの学校生活に思いを馳せることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます