なっちゃんの楽々!掌編小説の書き方講座
楽々! とか言ったけど実はなっちゃん近頃、冗長病ってやつにかかってるのでなかなか書く回数減ったんだけどね。
短編っていうよりかは、3000字くらいの掌編を書くのが多いので、その感じで書きますねー!
あくまでもなっちゃんの個人的なやり方なので、あんま鵜呑みにしないでね。
エッセイだからね、これ。エッセイ。
さあて、やろうか。
まず長編つくるときとは視点を変えるところから始めなければなりませんなー。
写真で考えたら分かりやすいかな、どうすっかな、えっとね、目の前にきれいな花畑があるとするじゃない。
うわーおめっちゃきれい!! ってなって、引いたところから全景が写るようにパノラマで撮るのが長編ね。あっちからこっちまで赤白黄色が全部あるからこそ華やかできれい。
短編は、もっと近づいて、1輪の赤いチューリップだけにフォーカスする。「チューリップ」じゃなくて、「そのチューリップ」。「a」じゃなくて「the」です。「その1輪」を魅力的に撮りたいわけよ。
掌編は、さらにそこからズームして、赤い花びらの繊維まで見えそうなほど寄る。花びらの1枚がどんな色でどんな姿をしているか。当たり前だと思っているものを改めて見ることによってはっ!! とさせたい。
なんかこんな感じ。分かる? すでになに言ってんだか分からん? ごめん。笑
長編との明らかな差は登場人物の人数です。
わたしは基本的には、「わたし」と「あなた」だけで展開することが多いです。まあ別にひとりでも3人でもいいんだけどね。わたしはふたりが書きやすいからさ。
人が増えると人間関係の交錯が増えるので、そのぶん文字数が必要になっちゃいますよね。
ズームしたいので、可能な限り不要なものは省きます。
言ってしまえばこんだけなんだけど、あとどう説明したらいいかな。
具体的な描写のはなしでもする? そうする?
じゃあ例えばよ、枝豆くんとおからちゃんがぎゅうっと抱き合ってます。
ここに「なぜ」がメインでつくと、長編につくりやすいわけ。
ふたりはどういう関係で、どんな理由でぎゅうっとなってて、ぎゅうっとしたことによってなにがどうなるの。
これを表現すると「ストーリー」になります。
掌編に必要なメインは「どう」です。
ぎゅうっとした感触、匂い、質感、音、どう思ったか、どう思ってるか、指先の力の加減。なにを言ったの? どうなりたいの?
伝えたい「ワンシーン」を掘り下げる。
もちろんなにを書くにしても、どっちも必要なんだよ。
掌編のなかにもストーリーは存在するべきだし、長編であっても見せ場にはより細かな描写が必要です。
でも、優先して書かなきゃいけないものの違いがある。
長編が横により広げるイメージだとしたら、掌編は縦により掘り下げるイメージです。
なんでこんなイメージのはなしばっかなのかっていうと、掌編は長編に比べると表現方法の幅が広いからね。
一概にこう、っていうのは言えないんだよね。
会話文だけでも成り立っちゃえるもんね。
ただひとつ言えるのは、長編の内容を大雑把に書いたものが質のいい掌編ではない、ってことですかね。
それ、あらすじ。笑
伝えたいものを伝えるのに横着をしてはいかんよね。
逆に伝えたいものさえあれば、長かろうが深かろうがなんでも書ける。
わたしはそう思ってます。
あ、ついでだから、細かい描写のつくりかたの一例でも出しとくか。
おからちゃんが枝豆くんを殴りまーす!笑
①
おからちゃんは右手で力いっぱい枝豆くんの頬を引っぱたいた。
枝豆くんは驚いて「なんでだよ!」と怒鳴った。
②
おからちゃんは右手を開いて勢いよくそれを振りかざした。
パチン! と乾いた音が響いて、手のひらが枝豆くんの頬にぶつかる。
引っぱたいた右手のひらがじんじんとした熱をもって、おからちゃんは一瞬だけ、自分が枝豆くんを引っぱたいたことに怯んだ。
枝豆くんは突然受けた衝撃に驚いたように硬直してから、ゆっくりと自分の左頬に手を当て、次にはおからちゃんに向かって大声で怒鳴った。
「なんでだよ!」
おからちゃんはその声の大きさに怯えて、思わずびくりと肩をすくめた。
②は、視点が明らかにおからちゃんですね。
枝豆くんに関するところは、おからちゃんから見えている情報のみで成り立ってます。
代わりにおからちゃんについては、心情描写を入れることができます。
ちなみに、枝豆くんの心理を表現しようと思ったら、
・目を釣り上げて睨んだ
もしくは
・眉値を寄せて目を逸らした
または
・悲しそうな顔をしてじっと見つめてくる
もういっちょ
・なにかを言いたそうにしてくちびるを開いてから、押し黙った
などなど、の書き方ができますかね。
見えている表情を描くことで心情描写に仕立てることが可能でーす。
しかしながら枝豆くん、きみ、おからちゃんに一体なにをしたんや。修羅場やないかい。笑
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