『純』

 わたし基本的にいつも、想定読者層を相当絞ったもんばっかり書いてるんです。

 広く浅く、ではなくて、狭ーく深ーく、を目指しております。

 綺麗な湖なんかじゃないのよ、井戸よ、井戸。

 あの暗くて鬱蒼としたとこにひっそり存在してるあれよ、あれ。

 なので、なに書いても万人受けはしないので、わたしの書く小説はたいへん読む人を選ぶもんばっかりです。

 ひでぇエロとかね、BLとかね、産後鬱のワンオペ育児とかね。

 好きな人は本当に好きだけど、興味ない人は本当に興味ない、みたいなんが理想。


 しかーし、そんなわたしにも、かろうじてこれならまだ人さまになんとかオススメできるでええ! ってやつがあるのです。

 それが、『純』です。

 こいつこう見えてカクヨムさん計算では7万6千字ちょっとありまして、カクヨムさんには掲載していない番外編を足すと8万字を越える長編です。

 あ、カクヨムさん計算ってしたのは、自サイトで出る文字数とpixivさんで出る文字数が全部違うので、結局どれなん!? ってなってまして、ここはカクヨムさんなので、カクヨムさんで出てる数字をもとにして書いてるよー、ってことね。

 構想半年、製作期間3年という、これでもかこれでもかとのーんびり書いたやつです。


 舞台は親友の慎二くんに急に性的に襲いかかられて「あーっ!!」ってなった主人公あきらくんが慌てて逃げ込んだコンビニ、から始まります。

 声をかけてきた美女エリカさんは実はお隣さんで、カップルだと思ってた相手のおっさん、陽平さんはなんと既婚者。

 この設定で一体なにが書きたかったかというと、「人間」ってやつが描きたかったのです。

 説明が面倒になってきちゃったから、ちょっとあとがきを抜粋するね!


あとがき抜粋!!

「純は、色のイメージでいうと、暗ーいネイビーブルーに、ちっこいシャンパンゴールドがいくらか散りばめられているような感じでした。

構成のイメージとしては、2組のカップル使って全てを対照的にしたいと思っておりました。

未来と過去、始まりと終わり、男と女、好きと嫌いの意味、強さと弱さ、深さと浅さ、直線と曲線、そういったものが、隣り合ったボロアパートの二部屋で織り成されていったら、果たしてこれは面白いのだろうか、そんなふうに考えてつくりました。

おっさんだから強いわけではないし、若者だから弱いわけでもない。

綺麗と汚いの意味だって見方と捉え方によって違うものだろうし、見えているものが全てでもない。

人間ってどんなもんかなあ、と思いながら書いていました。

伝わっていればいいなあ。」

抜粋終わりいいい!!


 ってな感じのことを書きたかったんざますね。

 んで、相当がんばった甲斐がありまして、多分出来がよいです。

 カクヨムさんのワークスペースでさ、グラフ見れるじゃない。

 あれ1話目がででーん! ときて、2話目以降が徐々に減っていき、何故か終わり頃からまた増えていくという、謎な逆三角形が形成されがちだとか。

 ゆるやかな逆三角形が理想らしいんですが、この『純』に限っては、ほぼ四角です。

 いやまあ多少ギザギザしてっけどね、でも三角形になってません。

 これは最初から最後までぶっ続けで読んでくださる方が多いんだな、と捉えています。


 リアルなものがね、描きたかったのよ。

 綺麗なとこも汚いとこも描きたかった。

 近所にはいなくても、ひょっとしたら隣町くらいになら実際にいるかもしれない。

 そういう距離感のものが書きたかったのです。


 長いので、とにかく始めから終わりまで文体は軽く軽く。

 等身大のあきらくんをそのまま現せるように。

 重いところだけをしっかりと重厚に。

 ちゃんと次のページに指が届いてもらえるように。

 とか、年代のバラバラな人たちを使っているので、そういうところでリアルさに厚みを出したりとか、とにかく自然に自然に。

 ってつくりました。

 まあ直したい部分もたくさんあるんだけどね。


 別に「これをお読み!」って言ってるんじゃないよ、違うからね。笑

 どれにしようかなーって人に唯一オススメしやすいのがこれ、ってだけですわ。


 あれもこれも挑戦してみて、そのうちいろーんなの書けるようになりたいなー。

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