絶対ヒーロー

 窮地に颯爽と現れてかっちょ良く敵を倒し風のように去っていく。

 かっちょ良いよねぇ、ヒーロー。

 わたしにもそんな、絶対的に信頼を置いているスーパーヒーローがいます。

 彼の名は、そう、


『サロンパス』




 いやほんと侮れないんだってこれが!

 彼との付き合いはもう数年になります。

 なぜわたしが彼と仲良しさんになったかといえば、理由はわたしの首にあります。


 前のエッセイで書いたんだけど、わたし階段脇で気絶して転げ落ちたことあるんだよね。

 あれは冬だったんだけど、実はわたし、半年後の夏にも似たような症状に襲われたのです。


 その日わたしは近所のクリニックで、下の子を連れて点滴をしてもらっていました。

 あ、わたしねぇ、昔からひどい貧血持ちでして、時々具合悪くして採血してもらうと、ちょっとお医者さんがびっくりしてしまうような数値を叩き出しちゃうんですよねぇ。

「あんたよくこれで生きてるね」って何人かのお医者さんに感心されたことがあります。

 そんなときにはもう経口摂取(あ、鉄剤をごきゅっと毎日飲むやつね)では間に合わないので、ある程度の数値に回復するまでは点滴で鉄を入れてもらうんですよ。

 今までずーっとそうだったから、わたしが具合悪くするのは大体の原因は貧血である、と、思っていたんです。

 ただ、それはまさにその鉄剤の点滴中に起きた。

 いつもとなにも変わらない点滴室で椅子に座って、いつもとなにも変わらない調子で針をぶすうっと刺され、横で楽しそうに折り紙をくっちゃくちゃにしている下の子とおしゃべりをしていました。

 5分くらいして、急に目が眩んできまして、あれあれおかしいぞ、頭が重いぐらぐらする、耳とか目とかフィルター越しになっちゃってる、なんかこの感覚、知っている……!

 ってなりまして、傍にいた看護師さんに手を挙げて「はいはいはーい! 変! なんかへーんー!」って言うと、そこらにいた看護師さんたちが血相変えて5、6人ぶわーっとすごい勢いで寄ってきまして、わたしは光の速さで一番近くのベッドに移動させられました。

 んであれこれ処置をしてもらっている間に、血圧は上がるわ過呼吸なるわ悪寒はするわ下の子は看護師さんがひとり付きっきりになってくれて申し訳ないわで、なんかもうてんやわんやでした。

 点滴がおかしかったのかもしれない、とか、貧血は原因ではなかろう、とか、お医者さんと話していたんだけど、最終的には「救急車呼ぶから総合病院行きたまえ」ってなって、まさかの病院から救急車で病院へ。

 旦那にも連絡してもらって、下校時間が近づいた上の子も回収してもらい、わたしは総合病院に救急で運ばれました。

 んで、そっちであれやこれや調べてもらった結果、分かったのが「ストレートネック」ってやつです。

 なんかね、カーブしてなきゃいけない首の骨がすとーんとまっすぐになっちゃって、首回りのいろんな神経とかに負担をかけて具合悪くする、らしいです。

 ずっと下向いた作業したりとか、枕が合ってないとか、いろんな原因があるそう。

 説明をうけてわたしはピーン! ときました。

 わたしそういや、小説書くと平気で2、3時間動かない……!

 サイトを作った頃からと考えても、つもり積もって最低8年分くらい。

 いやー、本当みんな気をつけたほうがいいよ!

 書いてる途中も休憩したほうがいい!

 んでそのとき総合病院のお医者さんに言われたのが、「疲れないでね」って一言でした。

 最初の感想、「なんて?」

 次の感想、「んな無茶な」


 そんで、どうしたもんかと思っていたわたしの前に颯爽と現れたのがサロンパスくんですよ!

 正確にはわたしがサロンパスの売り棚の前に行ったんだけどね!

 彼はすごいやつでした。

 わたしはいつも寝る前に、右肩に2枚、左肩に2枚、首に沿って貼っているんですが、あのじんわーりピリピリ効いてくる感じがたまらんのです。

 首コリという強敵を一晩かけてやっつけてくれて、朝には風のようにゴミ箱の中へと去っていく。

 素敵っ!!

 おかげさまで本当に具合悪くすることは減りました。

 ついでにね、もういっこ良い効果があったんですよ。

 わたし夜中によく2時間置きくらいに目が覚めちゃうんですけど、サロンパスくんを貼って寝るとね、なぜか朝まで起きなくて済むのよ!

 一体どうなってんのかね。

 よく分からんけど素晴らしいわサロンパスくん。


 物書きのみなさん本当、首にはお気をつけくださいね、サロンパスくんは確かに間違いなく優秀なスーパーヒーローだけど、ずっと使ってると「わたしはばばあか……」とか悲しい気持ちになってくるのが難点です。

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