子猫がかわいいんだ

 野良なのか近所の飼い猫なのか知らないんだけど、うちのまわりを毎日ちょろちょろする猫親子がいるのです。

 お母ちゃんは白黒の毛をした美人さん。

 子どもらが4匹いて、これまたみーんな白黒ちゃん。

 みんなちょっとずつ模様が違うんだけど、パッと見だとまるで分かりません。

 春先に生まれたばっかの頃から知ってるので、むしろお母ちゃんの妊娠中から知ってるので、子どもらが大きく育つのをまるで近所の人間の子と同じように微笑ましく見守っています。


 ちょっと前までか細い声でにーよ! にーよ! って鳴いてお母ちゃんを呼んでいたのに、さすがに半年も育つと立派な子猫になっちゃって、やんちゃするんだろうなあ、お母ちゃんは大変よねぇ、と、人間のお母さんと同じように話しかけたくなっちゃうのです。


 うちの車の下が日当たりがよくてお気に入りらしくって、よく日向ぼっこがてらでろーんとした姿で寝ています、お母ちゃんが。

 子どもらは危険がないのをいいことにいつも縦横無尽にそこらを駆けずり回っています。

 最初の頃はやっぱ警戒されていたんだけど、「こいつは無害だ 」と認識してもらえたみたいで、ここ数ヵ月は逃げなくなっちゃいました。

 これこれもうちょっと警戒心持ちなさいよ、誰でも彼でも近づいたらだめでしょ、ちょっと車出したいからそこどいてくんね? と、車の下を覗き込んで話しかけても「知らんよ」みたいな顔をされるばかり。

 何度も懇願してようやく重い腰をあげてくれるような有り様です。


 でも触ろうとすると逃げるのよ。

 自転車で買い物行って帰ってくるじゃない、自転車が見えたら一応慌てて隠れようとするんだけど、顔を見ると「なんだおまえかよ」ってなって戻ってくるのです。

 おやおや可愛いやつめ、ほれほれちょっと撫でさせてくんろ、ってしゃがんだりすると、「その手には乗らねぇぜ!」ってなってちょっと離れる。

 ちょっと近づくとちょっと離れる。

 ここが玄関前でなくて浜辺だったら間違いなく「わたしを捕まえてごらんなさいウフフ」状態ですよ。

 いつもこうして弄ばれています。

 可愛いからいいのだ。

 動く車には気をつけるんやでぇ、って声をかけたり、よそさまの屋根に登って全員で日向ぼっこしているのを眺めたりしています。


 あのねぇ、めっっっちゃ癒されるんだよ!

 ちっこいのがちょろちょろしてっとかわええんだー!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る