第25話:寶登山神社の参拝
「あのカエル岩はよく見るとカエルに見えなくもなかったな」
「そうですか? 思ったよりカエルに見えましたよ?」
「どっちかって言うと亀の子岩の方が亀っぽくは見えた」
「ですね」
樹と天宮は長瀞へ戻るバスでそんな事を話しており、お互いが笑いあっていた。
バスが長瀞駅に到着し、樹と天宮は次の観光場所である寶登山神社へと歩いて向かうことに。
寳登山神社は、日本武尊と山犬伝説の残る神社である。
歩きながら面白そうな店があれば入ったりとして、楽しんでいると直ぐに寳登山神社へと到着した。
二人は入口の鳥居の前に立っていた。
「ここが秩父三社の一つ、寳登山神社か……」
「大自然に囲まれた神社ですね。」
「だな~」
紅葉に彩られた神社は雰囲気があり、樹は嫌いではなかった。むしろ好きな方でもあった。
二人は鳥居を潜りまず最初に手水舎へと向かう。
「桐生さん分かっていたのですか?」
「当たり前だ。礼拝する前に体を清めるのは常識だろ?」
手水では手を洗い口をすすぐ。手や口を洗い清めることは禊を簡略化した儀式である。そして、身も心も清め、清々しい気持ちでお参りするのだ。
「分かっていたのですか……てっきり桐生さんは知らないかと」
「おいおい」
二人は笑いあい、そして手順通りに清めた。
ここで手水の作法を説明しよう。
まず最初に、右手で柄杓を持ってたっぷりと水をくみ、左手を清める。次に柄杓を左手に持ち替えて、右手を清める。
そしたら再び柄杓を右手で持ち、左の手で水を受け、口をすすぐ。この際に、柄杓に直接口を付けるのは厳禁である。
改めて左手を清める。この際に、柄杓の中の水を全て付けるのわないようにする。
そして最後に、残った水で柄杓の柄えを洗い清めたら、元の位置に戻したら終了である。
手水で清めた樹と天宮は、拝殿へと続く階段を登りとうとう拝殿へと到着した。
やはりか、ここも人がそれなりに多い。
「これが拝殿か……」
「綺麗で繊細な彫刻ですね」
二人の目の先には、向拝を飾る竜の彫刻であった。
樹と天宮は参拝をするために列に並ぶことにした。少しして順番が回ってきた。
ご縁があるようにと、樹と天宮は五円玉を取り出し賽銭箱へと投げ入れた。
投げ入れたとはいったが、出来るだけ投げないようにして入れた。投げ入れる行為はあまり良くないからである。
樹と天宮は二礼二拍手一礼をしお願いをする。
この際の二人が祈った願い事は書かないでおくとしよう。
そんなこんなで参拝が終わった二人は、色違いであるがお揃いの御守り買った。
「お揃いですね!」
「あ、ああ」
天宮の言葉に樹はドキッとする。
「そ、そうだ。この先に稲荷神社があるから行こう」
「ありますよね! 行きましょう!」
笑顔な天宮と一緒に、少し先にある宝玉稲荷神社へと向かい参拝を済ませる。
「そろそろお昼だし。どこか見つけようか」
「そうですね」
それから二人は寶登山神社を降り、昼食を探しに向かうのであった。
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