第26話:昼食でまさかの遭遇

 昼食を食べる所を探しに樹と天宮は長門駅へと戻っていた。


「どこにしますか?」

「秩父ミューズパークに行くし、ここで食べないで安田屋っていう有名なカツ屋があるらしい。丁度昼まで大体四十分くらいだし、そこはどうかな?」


 安田屋のカツはボリューミーで絶品だと、調べたら書いてあったのだ。


「安田屋のカツ丼ですか!? ……あっ、す、すみません」


 樹の提案に予想以上に食いついた天宮。

 どうやら天宮は知っているようだった。


「知ってるのか?」

「はい。桐生さんが言う通り秩父では有名な所見たいです。一度は行ってみたかったで。まさかそこを提案されるとは思ってませんでしたけど」


 そう言って笑う天宮に樹も釣られて笑う。


「実は調べてたら見つけてな」

「そうだったのですか。早くいきましょう!」

「だな。腹も減ってきた」


 二人は安田屋へと向かうため、その近くの駅である御花畑駅へと向かう。

 電車に揺られること四十分弱。樹と天宮の二人は御花畑駅へと降り立った。


「駅の名前が……」

「そのままですからね。おはなばたけ。可愛くていいじゃないですか」

「だな」


 そんこんなで二人は駅から安田屋がある店まで向かう。バスがないので、そこまでは徒歩で向かうことになった。

 歩きながら樹は天宮に提案をする。


「そう言えば車内から秩父神社が見えたよな?」

「はい。それがどうしまた?」

「秩父ミューズパークの帰りに寄っていかないか? 折角の秩父だ。三峰神社は遠いから行けないけど、秩父神社ならいけるだろ?」

「いんですか!?」

「ああ。夜祭で有名だからな」

「いきましょう!」

「決定だな」


 帰りに秩父ミューズパークの帰りに、最後に秩父神社を見る事となった。


 こうして樹と天宮は安田屋へと着いた。


「思ったより人が多いな」

「そうですね。……止めますか?」


 少ししょんぼりする天宮。そんな表情を見せられたら嫌でも断る事は出来ない。

 天宮は食べて見たいのだろう。


「……食べたいんだろ?」

「はい。ですけど並んでますし……」

「なら俺が並んでるからどこかで休んでいてもいいぞ」「そうはいきません! 私も並びます!」


 胸の前で握り拳を作る天宮。そんな天宮が可愛らしい。


「なら並ぼうか」

「はい!」


 二人で話しながら待っていると、とうとう順番が回ってきた。


「お次のお客様。申し訳ございませんが、只今満席の状態で、相席となってしまうのですが宜しいでしょうか?」


 樹が天宮の方を見ると、私は構いませんよ、と言っていたので相席にすることに。


「では相席でお願いします」

「分かりました。ではどうぞ」


 中に入り店員によって席に案内される。


「ではこちらへどうぞ。お決まりになりましたらお呼び下さい」

「はい」


 店員はそう言って行ってしまう。


「すみません。失礼します」

「失礼します」


 顔は見えないが、どうやら相手はカップルのようだ。


「はい。どうぞ──って……」

「ん? ──は?」


 男性の方が口を開いて固まっていた。

 お互いの目が合って固まった。それに釣られて天宮め固まった。


「……え?」

「どうしたの──ってぇぇえ!?」


 女性の方も目が合って四人は固まった。

 何故なら──


「「どうして樹(一条)がここにいるんだ!?」」

「しかもまっしーも!?」


 そう。一条と朝比奈であったからである。

 思わぬ所で出会った四人であった。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る