第42話叫び(sideカイト)
『怪人の間』という、大きな看板が付いた部屋。以前、来たことのある『大王の広間』とは違う。割と小ぢんまりとした部屋。
「
「
そう叫んだが、目を閉じたまま。何も語ろうとも叫ぼうともしないその姿。まるで人形の様に繭に包まれているだけ。その姿に、俺は、怪人を問いただす。
「お前は一体何者なんだ?」
さっき、頭の中で感じたのは、
どっちが本体なんだ?一見、見分けがつかない。声は怪人の
「助けたかったらどうぞ……。でも私が、阻止しますけどね?」
動けずに躊躇していた。しばらくの沈黙……。すると突然、部屋の窓ガラスが割れた。
突然の出来事。
今の俺に対して、何の波動も無しに近づける人物など、いるはずもないと面食らった。
「もらったぁ!」
だが、そこに現れたのは先日、俺が吹っ飛ばしたはずのバババギャーン、レッドの
いきなりの登場。狙いは俺だったが、俺はそれを瞬時に躱す。体が勝手に動いたと思った。すると、木崎の持つブレード剣が、茶褐色の怪人に胸に突き刺さった。まさかの出来事。今まで俺の波動を弾き飛ばしていた怪人の肉体とは思えないぐらい簡単にそれは突き刺さる。それを見た俺は、「愛美ぃぃぃぃぃ!」と叫んだ! 部屋中に響く声で、叫んだ。そして瞬時に波動を発動して、人間である、
「きっさま! 先日と言い……。許さんぞ!!」
怪人の
「きゃあ!」
「ぐおおおおおおぉおお! 覚悟しろ怪人め! やってやったぞぉ!」と木崎の苦し紛れの叫び。
「貴様ぁああ!」
俺は渾身の力で顔を握り潰そうした。その瞬間……。頭の中に声が響く。
【騙されてはダメ! 意思をしっかり……】
そう聞こえたのは、ここにはいるはずのない、WORLD支部のベッドで、治療中の母親の姿。
「母さん!?どこから?」
俺は、声に出して叫んだ。一瞬、俺の腕に、優しい手のぬくもりがした。目の前には、いるはずのない母さんが、俺の腕を取って、木崎真也を引き離していた。
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