歩く、呼吸する
増永静人師という伝説の指圧師は、指圧を東洋医学の粋として系統立てた方です。自分は貧乏で継続的に指圧にかかることができない(かかりたいですよ、身体中痛い)。昭和の健康ブームの香り漂う『スジとツボの健康法−生命のひびき』(昭 50)という著書に、「病気だと言う前にな、食養だ、おいしいと思うものを食べなさい。それから歩きなさい」(意訳)とあります。人類は「至極真っ当」を聞き流す傾向がある、「わかってるよ」「当たり前だろ」。そうなんです、当たり前なんです。
歩行は最も基本的な全身運動で、本能的な動作になっています。これを日常生活にとり戻すことは、人間としてのバランスをとり戻す第一歩だと言えるでしょう。(p.86)
なんて真っ当なんだ。昭和、すでに日本人が歩かなくなっていたことがわかる。自分は貧乏を幸いに車がない(運転免許証もない)、移動手段は電車と歩行である。二駅なら歩く。秋晴れの休みの日に目的地(スーパー銭湯とかですね)まで歩くのはいいですよ…。ウォーキングじゃないです、ただ歩くのだ。移動手段として。歩くだけで気が晴れて精神が平穏になる。地を自分の足で踏む確かさ。
歩くのはマインドフルネスの機会でもある。「ただ歩く」は、無目的に漫然と歩く、ではない。歩きながら、「歩いている」ことを意識する。これがマインドフルネスです。マインドフルネスは簡単なんですよ…。基本は呼吸法だけで、いつでもどこでもできる。呼吸していない時間はないから、いつでも呼吸に戻り、意識する。なんだ横文字、って思いますよね(思ってました)。仏教なんですねこれが。数多ある派生本に捕まらずに、源流を辿りましょう。
ティク・ナット・ハン『「気づき」の奇跡』
Thich Nhat Hanh - The Miracle of Mindfulness: An Introduction to the Practice of Meditation
表紙帯がこわいティク・ナット・ハン師はヴェトナム出身の禅僧。訳語がやや気持ち悪いですが、タイ(尊称)の慈悲は伝わります。いい人…。
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