失われた世代

自分の世代にはいろいろな呼び方がある。ロスジェネと名乗ったり呼ばれるのが好きじゃない。失われてない、生きてる。無かったことにしようとしても、俺たちは人口が多いよ。こんにちは、赤ちゃん。無計画に生産され、過当な競争をさせられ、社会に出る時に社会に「知らんね」と言われ、その後ずっと棄てられたまま。被害者意識が強いとか言われる、いや、被害者だよ。「最弱の世代」と呼ばれたこともある。「おまえがダメなのはおまえがダメだからだ」という同語反復で片付けられたり、「おまえね、ろくな大人にならないよ」と蔑んだオヤジたちを敬ういわれがあるか? あんたらが作った社会で苦しんでるのはこっちだよ。そんな僕たちももうすぐ五十歳です。世の中のメンバーにカウントする気はなさそうです。失われた世代は幽霊たちなのかな? そんなマスを抱えて真っ当な社会だと堂々と言えるか? 何回でも言おう、俺たちは人口が多い。俺たちの絶望はこの国を壊すよ。困窮して孤独死する最期しか見えないまま、二十代、三十代、四十代を過ごしてきた人生を、俺たちは共有する。それが団塊ジュニアだ。

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