7-2 1人目の仲間

「おい、起きるんだ」


 ……


「おい!起きろ」

 

 そう言って、無理やりアインを起こした。


「……MPは回復できましたか?」

「しっかり全回復している」

「それよりアイン。王都にテレポートをした場合、おそらく城壁門の前に出ることになる。兄貴たちの居場所はわかるのか?」

「おそらく試験会場で下処理などを行っているかと」

「魔物にした処理なんてできるのか?」

「旅の途中料理なんかも作ってましたし、兄上たちの体ですので本能的に作れるんだと思います」


 意外と魔物を起用なんだな。


「早速王都に向かうか。準備はできているのか?」

「はい!いよいよですね」

「俺につかまれ」

「わかりました」


 テレポート!セルジオへ

 体が光に包まれていき、次第に視界が白くなっていく。


「いつまで目をつむってるんだアイン」

「もう着いたんですか?」

「あぁ、それより試験会場へ急ぐぞ」

「は、はい!」


 こうして試験会場まで急ぐ…はずだった…


「お前なんで知らねえんだよ」

「僕は昨日初めて来たんですよ!僕が知ってるわけないじゃないですか!」

「大体昨日から人に頼ろうとしすぎなんですよ!」

「お前だって今回の件人に頼ろうとしてたじゃないか!」

「それとこれとは別です!」


 またもやあほみたいな言い合いをしている。


「うるさいわね!!まだみんな寝てる時間帯なのよ!試験会場はセルジオ城あるからさっさとお行き!!」


 住民の方に怒鳴られ、一言も話すことなくセルジオ城についた。


「着いたのはいいが、これじゃあ、中に入れそうにないな」


 昨日よりも明らかに兵が増えている。

 それよりも気になることがあった。

 明らかに城の方から魔物の気配がする。


「これって……」


 すぐさまステータスプレートを表示して確認する。

 さすがに本一冊分のスキルは多すぎて探すのも苦労するな。


「これだ!」


 アインがびっくりした表情でこちらを見た。


「すまない。気にしないでくれ」


 魔物感知SSS

 効果範囲内にいる魔物の気配を感知することができる。

 SSS特殊効果?

 効果範囲内にいる魔物の種族がわかるようになる。


「これは使えるな!」

「さっきからどうかしたんですか?」

「いや、少し作戦を考えていてな。少し待っていてくれ」


[特殊効果を発動しますか?]

 これって名前決める時と同じ……

[10、9、

 相変わらずせかしてくるな。


「はい」


[発動しました]


「ん?!」


 その瞬間頭の中に情報が流れ込んでくる。


 名前  ヘルメッセンジャー×3 D

 特徴  人間に憑依することができる。


 Dランクの魔物ってことか?それが3体か。


[威嚇とコンボすることができます。コンボしますか?]

コンボしたらどうなるんだ?

[魔物感知の効果範囲内にいる敵に威嚇を発動し、一定時間行動を停止させることができます]

 そんなに便利なことができるのか?


「それもはいで」


[コンボしました]


 特に変わった様子はないが、できているのだろうか?


「あれを見てください!兵たちが一斉に城の中へと入っていきます!」


 アインに言われて気づいた。


「何かあったのか?とりあえず今のうちに城へ入るぞ」

「はい!」


 2階から気配を感じたな……気配を感じなくなった?!

 確かにさっきまで気配があったのにどうして?


「アイン俺の背中に乗れ!」

「なぜですか?」

「いいから」


 アインを背負い2回までジャンプをする。


「すごいジャンプ力?!」

「中が騒がしいな」


 中から兵の声が聞こえる。


「どうしたんだ?!」

「何かが倒れた音が聞こえたので駆けつけたら、サルヴァン家の3人が倒れてて、その横に…」

「こ、これは!ヘルメッセンジャーじゃないか!」

「まさかサルヴァン家の3人に憑依していたのか?!」

 

 今の反応の様子からしてヘルメッセンジャーは既に死んでいるのか?

「誰がこれを?」

「私が来た時にはすでにこの状態になっていたので…」

「ぅう……ここ、は?」

「ベルス殿!大丈夫ですか?!」

「兄上!」


 アインが兄のもとへと走っていった。


「おいアイン!待て……ってもう遅いか」

「アイン!!無事だったのか?!」

「もちろんです!それより兄上は大丈夫なのですか}

「あぁ、少し倦怠感があるが大丈夫だ。ただ、今まで何をやっていたのか全く思い出せないんだよ」

「たしか、セルジオを目指して旅をしていて…そうだ!私たちはその時に魔物に襲われて!」


 ぐうううう


「誰だ!!」


 なんでこのタイミングで腹が鳴るんだよ!

 ふざけんなよマジで!


「そこにいるのはわかっている!早く出てこい}


 素直に出るしかないか。

 両手を上にあげなあらゆっくりと出ていく。


「なぜここにいるんだ!答えろ!」

「兄上違うんです!彼は兄上を助けるために手伝おうとしてくれていた人です!」

「そ、それは本当か?」

「はい」

「それはすまなかった。少し過敏になりすぎていて」


 その後、兄たちに今まであったことをすべて話した。


「そうか……父上が……」

「それよりすまなかったアインよ!」

「そんな!頭を上げてください兄上!」

「そのような外道なことをやってきたとは」

「魔物に憑依されていたんですから仕方ありませんよ!早く頭を」

「そなた名はなんと申すのか?」

「アデルだ」

 

 そういやアインにもまだ名前言ってなかったな。


「本当にありがとう!弟を救い、我々まで救ってくれるとは!」

「いえいえ、当然のことをしたまでです」

「何か役に立てることがあれば何でも申し上げてください!」

「そうだなぁ……弟を俺のたびに連れていきたいんだが」

「アインをですか?しかしアインは戦うことなんてできませんぞ?ましては弟のことを私が決めるわけには……」

「行かせてください兄上!」


 まさかアインの方から言ってくるとはな。


「しかし、アイン本当に良いのか?」

「はい!アデルさんと一緒にいるとたくさんすごいものを見れそうですし」


 言い合いばっかりしていて特にいい思い出はないのだが、本人が気に入ってくれているのならまぁいいか。


「そこまで言うのなら……アデルさん弟のことを頼みましたよ」

「あぁ、任せろ」

「これからもよろしくお願いしますね!アデルさん」

「よろしくなアイン!」





 

 






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