6-1 新たな仲間を求めて

「もうこんな時間か」


 ぐぅぅぅぅぅぅう

 おなかが鳴った。


「ゴブリン倒したらすぐに帰ってくる予定だったから食料なんて持ってきてないぞ」


 ふとゴブリンの死体が目に入る。

 さすがに今回ばかりは焦った。


「ゴブリンって食えんのか……ってバカバカ!俺は何を考えてんだ!」

「ゴブリンを食うぐらいなら飢え死にしたほうがましだ!」


 そう言って、横になった。


「明日になったらMPは全回復してんのかな?」

「とりあえず王都戻れたら仲間でも募集するか」


 ……


「ゴブリン臭すぎんだろ!」


 ゴブリンの生ごみのような強烈な臭いが漂っていた。

 いくら最強になったとはいえ、ゴブリンの強烈な臭いには勝てないものなんだなとしみじみ思った。


「ここまで来れば安心か」


 臭いの届かない場所へ行き夜を明けた。


「とりあえずMP確認するか」


 早速ステータスプレートを表示して確認した。

  

「意外と1日で回復するものなんだな」


 MPが回復していることを確認して安心しつつ、ゴブリンの回収に向かった。


「!?」


 1日たったゴブリンの臭いは想像を絶するものだった。

 さらに、太陽のもとで1日放置していたためか、ゴブリンの死体はとこるどころ腐食化をはじめている。


「さすがにこんなの持ち帰れないな」

「無償でクエストクリアってか……」


 自分の計画力のなさにとことんうんざりつつ、王都に戻る準備をした。


「さっさと帰るか」

「テレポートを心の中で唱える」


 だんだん視界が白くなっていく。

 誰もいないとわかっていても口に出すのを恥ずかしいと思ってしまう自分が情けない。

 そんなことを思っている間に王都に着いたみたいだ。


「まずは仲間集めだ!」


 早速ギルドへ向かう。

 あれからいろいろと考えていたのだが、仲間になってほしい人の条件は一応決めていた。


「ういっす」


 ギルドに入っていく。

 相変わらずギルド内は静まり返った。


「ちっ、居心地わりぃな」

「あっ!アデルさん昨日は大丈夫でしたか?!」

「あぁ」

「急に消えたと思ったら、それ以降一度も現れなかったので心配してたんですよ」

「ま、まあいろいろあってな」


 スキルや昨日のことについて話しても、めんどくさくなりそうだからやめておこう。


「そんなことよりさ、仲間が欲しいなって思ったんだけどここでいいのか」

「はい!仲間にしたいと思っている役職、条件を言ってくださればそれにあった人物をこちらでお探しします」

「そうなのか。便利なんだな」


 3人は欲しいと思っていた。

 

「じゃあ、攻撃魔法を使えるやつに、僧侶、最後に

……コックだ!」


 ……


「ん?聞こえなかったのか?」


 ギルド内にいるすべての人が唖然としていた。


「おい、俺なんか変なこと言ったか?」

「は、はい。コック……ですか?」

「あぁ。コックだが……まさかこの世界にはコックがいないのか?!」


 まさかコックがいないなんて考えてはいなかった。


「もちろんいますよ。ただ、コックというものは王宮料理人のことを示しますので、コックを仲間にするのは不可能かと」

 

 この世界のコックはそれほどすごいのか。だが、料理ができるやつがいないわけじゃなさそうだ。


「なら料理ができるやつを探してくれ」

「料理人が欲しいのなら、ちょうど明日コックを決める試験が王都で行われますからそちらへ行かれてみてはどうでしょうか?」

「なんだそれ?。詳しく聞かせくれ」


 この国では毎年コック選抜試験が行われているらしい。現在コックを担当している者も毎年参加しなくてはならないらしく、毎年コックが変わっているらしいのだ。

 A、B,Cの3つのトーナメントがありそれぞれのトーナメントで1位になった計3名がコックとして任命されるのだ。


「コック選抜試験で落ちる子もかなりの実力者ですので、そこから推薦してみるのもいいかと」

「なるほどな。それはいい考えだ」

「明日が楽しみだな」






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