5-2 唯一の弱点

ゴブリン達はかなり困惑しているようだったが、敵だとわかるとすぐに臨戦態勢をとった。


「ゴブリンの集落か、見つける手間が省けたぜ」


 ゴブリン一斉に襲い掛かってくる。


「とりあえず周りに被害が出ない程度に一撃でやるか」

「……風!」


 竜巻のようなイメージをしたが、さすがに三度目となると学習し、威力をできるだけ抑えるイメージをした。


……


「イメージが分かりにくかったのか?」


 今度は、上空に向かってらせん状に勢いよく上がっていく様子をイメージした。


……


「どうなってんだ?!くそ!素手でやるしかないのか」


 といっても勝手に体が動くだけだ。

 あっという間にゴブリンどもをけちらし魔法が発動しなかった原因を探る。


「イメージ的には悪くなかったはずだ」


 そういいつつステータスプレートを表示するとそこにはMPが0とひょうじされていた。


「MPが0になってるだと!?」

「今日はまだ魔法を使っていないはず……いや、使ってはいるがテレポート改のたった一回だ」


 習得した魔法の中からテレポート改を探す。


「あった!だがMP326511もあるのに一回で消費する魔法なんてあるのか?」


 魔族との対戦でレベルがかなり上がっていたらしいのだが、気づいていなかった。

 テレポート改の詳細を見ていく。


「そういうことだったのか……」


 実はテレポート改は行きたいと思った場所にテレポートできる代わりに、MPを一回で消費してしまうというデメリットがあるのだ。


「なるほどな。そこまで甘くないってわけか」

「となるとこの魔法の使い道は考えないといけないな」


とりあえずゴブリンの遺体を回収する。


「よし!ざっと130匹くらいか。しかしこいつらどうやって持って帰るんだ?」


 その時かすかな疑問が思い浮かんだ。


「そういやテレポート改って……魔法を作る?」 


 まさかとは思っていたが一応ためすことにした。


「アイテムを無限に収納可能な魔法を!」


[魔法の名前を決めてください。10秒以内に決まらなかった場合、消去されます]


「やはりりそうか!自分が欲しいと思った魔法を作ることができるのか」


[10、9、8


「名前は……」


[7、6、5


「アイテムボックス!!」


[アイテムボックスで登録しました]


「いつの間にこんなに便利なスキルを習得してたんだ?考えても仕方ないか」

「まずはこのゴブリンを全部回収するか」


 そう言って、アイテムボックスを開こうとしたがMPが0であるため使うことができなかった。


「そういえばMP0だった……てことは今日は帰れないのか?!」


 野宿に抵抗はないためそこまでがっかりすることはなかったが、テレポート改は本当に必要な時でない限り使うのを制限しようと考えた。


「やべ!アイテムボックスに状態変化の耐性をつけるの忘れてた!さすがについてないよな」


 念のためにアイテムボックスの詳細を確認することにした。


「なるほどな空間魔法なのか。だから状態変化する必要はないのか」


 どうやらアイテムボックスは空間魔法らしく、時が動かない時空間で保管されているため、状態変化する心配はいらないようだ。


「ん?」

「なんだこれ?」


 アイテムボックスに収納されたものは各ものごとに取り出す際半分になる。


「まじかよ……いや、そういうことなのか」


 なんとなく謎のスキルの効果についてわかってきたような気がした。


「このスキルおそらくだが、自分で魔法を作ることができる代わりにバッド効果がつくようになっている」

「俺にとっての唯一の弱点か……自分で作った魔法が自由に使えないとはな」


 なぜか落胆せずに、それどころか少しうれしさもあった。

 これから始まる新たな生活にきっとワクワクしているのだろう。




 

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