4-2 初クエスト

「魔王様。先ほどの大爆発の件ですが、ヴァラティーアの治める村が、完全に消えていました。」

「なんだと?」

「ヴァラティーアの死体のみがある状態です」


 爆発音は魔王城にまで聞こえていたらしい。


「誰の仕業だ?」

「微量に残っていた魔力の感じで、おそらく人間かと」


 アデルにとってはなんて事ないが、エクスプロージョンは最上級魔法のため、魔力を大幅に使ってしまう。そのため、微量に魔力が残ってしまったらしい。


「早急にその人間を探すように」

「かしこまりました」

「魔人を倒す人間か……おもしろい!魔族に喧嘩を売った事、後悔させてやる……」




「はぁ、はぁ、はぁ。ったく、どうなってんだよ」


 まさか魔族があんなに弱いなんて。

 このことは、秘密にしておこう。さすがに魔族の連中もここまではこないだろう。


「あ!アデルー!」


 誰だよこんな時に。


「アデル、1日ぶりだね!」

「ミレーじゃないか!なんでこんなところに」


 勇者パーティーと旅にでたはずのミレーがなぜ?


「急に大きな爆発音がしてさ、騎士団が調べに行ったんだけど、私レベル低くて危険だからって先に戻ってろと」

「なるほどな……」


 ま、まさか俺の魔法じゃないよね。


「アデルこそ何してるの?」

「あ、あぁ。クエストから帰ってきたとこ」

だ」


 さすがに幼なじみでも言えない、あんなこと。


「えー!村人なのに冒険者?!」

「悪かったな!」

「で、クエストはどうだったの?」

「失敗した……」


 地図が読めなかった……なんて言えない……


「うふふ。アデルらしいね」

「なんだよそれ」


 とりあえず1件落着……だと思う。

 はぁ、今日は野宿か。せめて食事代だけでも稼ぎたかったよ……


「ところでアデル。今夜はお城に泊まっていけば?」

「はぁ?無理に決まってんだろ!」


 急に何言い出すんだこいつは。村人の俺が泊まれる訳ないだろ。

 

「大丈夫だよ!今日は見張り役の兵しかいないから」

「バレたらヤバいだろ!」

「大丈夫だって!」


 結局、強引に連れて行かれた。


「す、すっげぇーデカい!」

「早くしてよ」

「はいはい」


 城の中は、とにかくすごかった。いろいろとすごかった。


「腹減ったな」

「そうね、ご飯にしましょうか」


 彼女はテーブルの上に置いてあったベルを鳴らした。

 

「なんだそれ」

「シェフを呼んだのよ」


 こいつ村出身のくせに、王族みたいだな。

そうこうしてる間に料理が届いた。


「な、なんだこれは!」


何なのかは分からなかったが、旨そうだった。


「う、うまい……」

「うん!今日もおいしい」


 あっという間に食べきった。


「あーうまかったー」


 とりあえず飯を食い終わった俺はシャワーを浴びて寝ることにした。


「俺どこで寝ればいいんだ?」

「そこまっすぐ行ったらロイスって書いてあ

る部屋があるから、そこ使ってちょうだい」


 あった。[勇者 ロイス]


「勇者の部屋か、どんな部屋なんだろう」


 恐る恐る開けてみると……


「案外普通なんだな」


 普通だった。だがそこで、気になる本を見つけた。


「なんだこれ?古すぎてなんて書いてんのかわかんねぇ」」


本を広げるとそこには、隠しスキルが載っていた。


「なんだこれは?」

「とりあえず習得だけして明日読むか」


 効果を読む前に、真っ先に習得した。


「これでよし」


 本を閉じ眠ることにした。

 疲れが相当溜まっていたのか、すぐに眠りについた。







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