4-1 初クエスト

「やっぱりDランクはしょぼいな……」

 

 さっさとランクあげないとこんなクエストが毎日続くのは困る。

 そう思いつつ、一番ましなクエストをとった。


 ゴブリン退治 最近、北の山脈のゴブリンの集落

        から大量のゴブリンが村へ降りて

        きて畑が荒らされてしまうことが

        多くなってきました。

        そこで、ゴブリン退治の依頼をお願いします。        

     


報酬      ゴブリン2体につき、銅貨一

        枚。


「ゴブリン退治に行くか、てか僧侶ってレア役職だったんだな」


 エミリは、Dランクだが、数少ない僧侶であり、なかなかのレベルなため、Bランク冒険者に招待され、パーティーを組む事になった。

 高ランク冒険者がパーティーに三人以上いる場合は、そのランクに合わせて、上のランクのクエストにいけるらしい。


「あのー、これうけますね」

「ゴブリン退治ですか。早速今日行かれますか?」

「今日で」


 今日の宿代に食事代か。この世界の銅貨がどれくらいの価値か知らないが、とりあえず倒せるだけ倒してみるか。


「そんじゃあ」

「待って!」

「討伐クエストは、証拠として体の一部を持ってこないと報酬もらえませんからね」

「そうなのか。わかった」


 危うく今日は野宿になるとこだったぜ。


「こっちで合ってんのか?」


 実は地図を使ったことがなく、まったくわからないのであった。


「こんなところに村なんかあるのかよ」


 あたりは薄暗く、地面や木々、空までもが紫色だった。


「魔界みたいなとこだな」


 まさに魔界だった。というか、本当に魔界なのだ。


 地図を読めないアデルは、テレポートを使うことにした。本来なら行った場所にしか転移できないが、地図を使い、目的の場所を指差し、テレポートを使えば、その場所へ行くことができるのだ。


「くそ、地図さえわかればこの場所がわかるのに……」


 もちろん彼は目的の村ではなく、魔界がある場所をさしていたのだ。

 魔界は次々と移動するため、何もないところに出現したりする。村や町の近くには出現しないため、やはりこれはアデルの問題であった。


「ん?あれはもしかして……村か!?」


 村が見えてきたので、走った。


「やっと着いたぜ!しっかし薄気味悪い村だな」


 村も相変わらずだった。

 早速、村長を探そうと、歩き出した瞬間。


「!?」


 急に戦斧が飛んできた。


「あ、あっぶねぇ……」

「今のを避けるとは大したもんだ。人間よ」


 ツノが生えている。周りもみんな。亜人だろうか?


「俺はゴブリンを退治しにきた冒険者だ。急に戦斧とかバカかよ」

「ゴブリンだと?バカはお前だろ。魔界にゴブリンなど存在しない」


 魔界だと?まさか本当に。


「じゃあお前らは……」

「我らは誇り高き魔族である」

「そして俺は、この村の長にして、魔王様に選ばれし七人の魔人の一人、ヴァラティーアである。」


 やばい。この状況はすごくまずいぞ。


「そ、そっかー。道を間違えたみたいだ。今日は帰るよ」


 俺は村をでようとした。


「逃すわけないだろ!」

「久々のご馳走だ!」

「やれ!お前ら!」


 案の定襲ってきた。

 やるしかない!

 相手は魔族!手加減はできない!

 高威力の魔法で!


「エクスプロージョン!!」


 突如、目の前で大爆発が起こった。

 爆煙のせいで視界がほとんど失われている。


「やったか?!」


 思わず目を疑ってしまった。

 目の前には村はなく、かろうじて生き残ったが、今にも死にそうな、ヴァラティーアのみがいた。


「一体お前は何ものなんだ……」


 そういうとヴァラティーアは倒れた。


「やべぇ!魔界とはいえ村を滅ぼすのはまずい!仲間が来る前に!」


 急いで王都へ転移した。










 

 

 






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