2-1 やはり異世界転生は裏切らない

 あれから村ではいろいろと大変だった。

 村で賢者がでるのは、世界初らしいのだ。

 おかげで成記祭が終わってから1週間ほどたった今でも、お祭り騒ぎだ。


「なぁ兄ちゃん!酒でもどうだ!」

「いらねぇよ」


 なんて会話もう100回くらいはしただろうか。


「ミレーは今頃準備でもしてんのかな?」


 明日ミレーを迎えに、王都から騎士がこの村に来ることになった。

 賢者は勇者達と共に魔王討伐の任務を果たさなければならない。そのため、明日の早朝に村を出るのだ。


「賢者っていいよなぁ。てかあいつのスキルはまさしく賢者って感じなのになんで俺のスキルは使えねぇスキルなんだ!!」




 そもそも俺はこのスキルの能力が全く分からなかった。期待はしていないが、自分のスキルの能力くらいは把握しておこうと思って、調べることにした。


「調べるって言ってもなぁ……」


 とりあえず俺は家に帰った。


「んー……そういや物置部屋にスキルについての本があったような」


ドアを開けた瞬間に大量のガラクタが流れてきた。


「ったく、雑に詰め込みすぎなんだよ」


だが幸運なことに流れてきたガラクタの中でスキル一覧という本を見つけた。


「お、あったあった」


 俺はすぐに本を手に取り調べた。

 そこには様々なスキルについて書いてあった。


「ミレーって、賢者の中でも珍しいほうなんだな」


賢者には4つのスキルがあり、通常2つのスキルを持いる場合がおおいのだ。なので3つスキルを持っているミレーは珍しいようだ。


「とどめを刺してくるなよな…」

そんなことを思いながら次のページをめくると……」


「な、なんだんとぉお!」


 思わず大声で叫んでしまった。


「なんだよこれ……ふざけんなよ」


 俺の身体は震えていた。今まで味わったことのない感情が今、こみ上げてくる。


「このスキル……最高すぎんだろ!!」


 なんとこのスキルは、他のスキルをコピーし、自分の物にできてしまう。更に彼はSSSランクのスキルだ。

 スキルというものはランクが高くなるにつれて効果、能力の内容が変わってくる。そのランクだが、DランクからSランクまでしか普通はない。だが、スキルハンターには幻のSSSランクがあるのだ。

 スキルハンターの場合

 DランクからSランクまでは、同じランクのスキルを一つしか習得できない。

 しかし、SSランクでもなくSSSランクなのだ。スキルの無限取得だっておかしくはない。


「最強の村人ってのも悪くないな」


 俺はスキル一覧のスキルを全部コピーした。

 そして、いそいでステータスプレートを開いた。


「これでやっと、諦めていたチート主人公に……」


 役職 村人 

Lv.1

 HP47683

 MP79642

 と表示されていた。


「レベル1でこれかよ……異世界系のチート能力は、とことんチートだな」


 近くの森に移動した。


「でも魔法ってどうするんだ?ラノベで多いのはイメージするとかだけど、そんなに簡単にできるもんなのか?」」


 俺は集中するために目を閉じ、火の玉を飛ばすような想像をしたが、いまいちピンとこない。


「熱くなったような気はするがいまいちピンとこないな」


 気のせいではなかった。だんだんと熱さが増していき、我慢できなくなった俺は一旦休憩しようと、目を開けた瞬間に絶望した。


「な、なんじゃこりゃあ!」


 山火事になっていた。急い

で消す方法を考えた。


「水だ!でもどーやって……そうだ!」


 勢いよく水を放つところを想像した。


「や、やった!」


 と思ったのもつかの間。

 火が消えるどころか、あたり一面の木がなくなっていた。


「え?もしかして俺……やらかした?」


 魔力強化がSSSランクの魔法はとんでもない威力になっているのだ。


「とりあえずは今日は家に帰るか」







 



 








 




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る