第2話
私は特別な治癒の魔力を持っていた為に王族に村を焼かれ連れ去られた
その王族に身体は許していない
私の魔力が望んだ人にしか許せないものだったからだ。
王族は激怒したが村は焼いた為にすぐに自分に心を向けるだろうと喜々した。
そして豪華なドレスを着せ妻になるよう命じた。
私は断った。
だが王族はそれを公に誤聴させありもしない噂を流し無理矢理妻とした。
そんなお飾りの妻の格好をさせられたまま生きていた。
もういっそ死んでしまった方が楽なんじゃ無いかと思うくらいに
そんなある日勲章式に呼ばれた。なんでも竜を討伐した英雄がいるとのことだ。
村が焼かれ丁度5年はたった頃だ。
私はその英雄を見たとき既視感を覚えた。私と同じように絶望し、何もかも諦めた目だったと思ったからだ。
勲章を貰えば気は晴れるのだろうかと彼を少し観察しようか思った矢先
王に向かって外道の一族と言い放ったのだ。
彼は剣を抜き王太子の生殖器と両耳を斬り落とした。
王太子は泣きじゃくっているとても村を嬉々として焼いた外道には思えないくらいに。
剣は砕けて囲まれた衛兵から剣を奪った彼はこう言った。
「では反逆者として反逆しようか、かかってこいこの村焼きの外道のように二度と子孫を残せない身体になりたければな。外道の一族達よ。我が一族が貴様らの繁栄を許すと思うな!」
そうだった私達の村の誇りだった。人殺しは絶対しない。侵略を起こさない。
それが私達の村の焼かれた理由でもあり、私の魔力の源でもあった。
そして彼は逃げて一年足らずで王国中の貴族達の下半身を不全にした。
そして今、彼が処刑されようとしている。
彼は貴族達全てを子供を作れなくした後自首したそうだ。
「囚人よ何か言い残すことはあるか。」
「我が人生で研ぎし諸刃、一振りの意思を結ばん。故に皆の衆よ、人生で研ぎし刃は諸刃で無きことを願う。」
首が、落とされた。
そして気がついた。彼が村の生き残りか何かは解っていた。だがその人物が誰かは解らなかった。その最後の言葉が、彼の父親そっくりだ。
人生てたった一つでいい絶対曲げないものを身につけろ。そしてそれを生涯賭けて研ぎ続けろ。
村の中でも下の子は出来ていなかった当時の私に初めてできた下の子。それが彼だ。
可愛い過ぎてどうすれば良いか判らずあたふたして疎遠になったのは覚えていた。
そして自然と涙が出てきた。
初恋に気付かされた
たった今無くなった彼に
感情を戻してくれた彼に
どこか不器用で愚直なまでに真っ直ぐな彼に
「あ゛い゛だい゛よ。」
それがもう叶わぬ願いであった。
彼の首がそこにあるのだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます