人生

家庭に親父が帰ってきた。しかし何故母親が許したのが分からない。それに苛つく。母親という人間は悪意に塗れた屍にしか見えない。人間の皮を被った悪意なのだろうか。それにしか見えない。

 人間社会とは殺す、殺される世界だと思う。殺人という意味ではない。上へ上へと上がるためにその人を下へと落とす。そんなイメージだ。母親は上にいる。俺は下にいる。何故そう考えるか。それはこの世が間違ってるからだと思うからだ。真剣に生きて会社に行っても会社はほとんどブラックだ。生きてる心地がしない。

昼は親父と寿司を食う。久しぶりの外食だ。マグロをとり、サーモンをとり、さらにはカツオもとる。いろいろな寿司を食べる。マグロの赤は鮮やかだった。いつの日かの殺人現場よりも鮮やかだった。当たり前だ。血と赤身では随分と色合いが違う。鮮やかな血とは何か…考えるのはよそう。親父と寿司を食べながら会話をした。

 家に帰る。

「おかえりなさい」

と母親の声がする。今日あった出来事を聞かれそれに答える。

「明日から学校が始まるんでしょう?準備しときなさい」

母親が言う。警察の捜査が終わったのだ。犯人は県内にいるのではないか?という焦点を置き捜査するみたいだと聞いた。

「そういえば四つ葉のクローバー私の部屋に置いた人誰?」

「四つ葉?知らない」

「俺も知らん」

俺と親父はそう答える。「そう」とだけ葉は言い洗濯物を取り込む。

 夕ご飯はローストビーフだった。いつにもなく不味い食事を済ませる。

 俺は決意する時間は少ししかない。復讐をする時間は後少ししかない。タイムリミットは今日だ。やるしかない。心臓の鼓動が聞こえる。まだだ。早すぎる。日付が変わる頃合いにしよう。決めた。自分の部屋に向かう。自分のロッカーの鍵を開ける。そこには紅い血で染まったナイフ。時間はまだある。俺はコンビニで購入したスパイスチキンを頬張る。今は22:55分。まだだ。時間はある。スマホゲームをする。人生ゲームだ。この人生ゲームは自分の選択肢で人生が変わる。運命の歯車が周り線路が変わる。このゲームで人生の選択をすると必ず『運命の歯車はもう回っている』という言葉が浮かびあがる。俺は今親友を助けるか。家族を助けるか。彼女を助けるか。俺は親友を助けた。家族よりも親友だ。彼女よりも親友だ。理由は自分自身でも分からないが率直的に親友を助けるを選んだ。時間だ。

 母親が寝ている部屋に入る。俺はナイフを手に取り母親の喉仏に当てる。起きない。呼吸が荒れる。そして静かに喉仏に突き刺した。母親の息が荒くなり俺を見た。何か言いたいが声が出ない。そして息を引き取った。

復讐を果たしたのだ。






「……と政治家の山里毅やまざとつよし議員は犯行を否定しております。続いてのニュースです。高校生連続殺人の犯人が今朝捕まりました。犯人は殺害された同級生にいじめられておりそれに復讐しようとして殺した。と供述しておりさらに母親を殺害した動機は虐待を受けていたから。と供述しております。続いてのニュースです。……」




 後にこのニュースに調べた人がいるようだが母親を殺したときに四つ葉のクローバーが置かれていた事を知り四つ葉のクローバーの花言葉を調べた所…意味は復讐だったようだ。

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憎悪 天ノ川鋼 @yanagidanaito

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