どこまでも森が広がっていた。

そう、森だ。木が沢山ある。

図書館で知った知識だ。

どちらも初めて見た。

俺は太陽に照らされた森が美しいなと思った。

そして壁を隔てた瓦礫の街を振り返り

何にも言えなくなった。


寂しい?悲しい?

いや違うな。何て言えば良いのか

分からない。

だけど壁を登ってきて良かった。

美しい森が見られた。


行こう。

俺はすぐに決心して

降りようとして止める。

ダメだ。食べないといけない。

俺のような人間は食べて

そして夜は寝ないと病気になる。

本に書いてあった。


缶詰をナイフで開けて

そして食べると、残った缶は

瓦礫の街へと投げ入れる。

森は金属は必要ないはずだ。

だから投げてしまった。

きっと缶の金属も別の使い道があると思うが

今の俺にはできない。


食べて、十分休憩をとると

俺は壁の上から、ひび割れの多い場所を探しに行く。

また何日かかかるかと思ったが

あっさりと近くに見つかったので

迷わずに降り始める。


俺は若い。そして強い。

だからできるはずだ。

強く信じて降り続けていく。

時々強い風が吹いて、危なかったが

そんな時は太陽を見上げて笑う。

そしたら怖さを忘れる。


太陽が沈みかけるころには

俺は壁を下りて

森の中へと降り立った。

そろそろ夜だ。

どこかで寝なければいけない。

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