瓦礫の街はでかい。

ずっと歩き続けて、嫌になったら飯を探す。

缶詰や、腐らない携帯食は崩れ残っている建物の

地下室や倉庫に沢山ある。

そう言う言葉も全部図書館で覚えた。


ある場所で見つけた本には

「謎の光が世界を覆う。救世主か侵略者か」

というタイトルが書いてあったが

疲れていたので、読まずに焚火にして

缶詰を温めるのに使った。


日が昇ったら歩いて、日が沈んだら眠る。

そうして何日も歩き続けると

高い高い壁に突き当たった。

どうやらこの瓦礫の街を囲んでいるらしい。


扉のようなものは左右どこまでも歩いてみても

無かった。

三日ほど俺はその壁の抜け穴を

歩き回って探して、決心して登ることにした。


俺の背丈二百個分くらいの古い壁だ。コンクリートという素材だったと思うが

そこに節々に亀裂が入っている。

俺は沢山亀裂が入っている場所を

さらに三日ほどかけて探し、そして辿り着いて

登り始める。


俺は若い。そして強い。

図書館の映像や本の話からすると若いし、強いと思う。

だから登れると信じた。

日が昇るころに昇り始めて

日が頭の上に来る頃に俺は登り切った。

そして、その先には……。

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