壁
瓦礫の街はでかい。
ずっと歩き続けて、嫌になったら飯を探す。
缶詰や、腐らない携帯食は崩れ残っている建物の
地下室や倉庫に沢山ある。
そう言う言葉も全部図書館で覚えた。
ある場所で見つけた本には
「謎の光が世界を覆う。救世主か侵略者か」
というタイトルが書いてあったが
疲れていたので、読まずに焚火にして
缶詰を温めるのに使った。
日が昇ったら歩いて、日が沈んだら眠る。
そうして何日も歩き続けると
高い高い壁に突き当たった。
どうやらこの瓦礫の街を囲んでいるらしい。
扉のようなものは左右どこまでも歩いてみても
無かった。
三日ほど俺はその壁の抜け穴を
歩き回って探して、決心して登ることにした。
俺の背丈二百個分くらいの古い壁だ。コンクリートという素材だったと思うが
そこに節々に亀裂が入っている。
俺は沢山亀裂が入っている場所を
さらに三日ほどかけて探し、そして辿り着いて
登り始める。
俺は若い。そして強い。
図書館の映像や本の話からすると若いし、強いと思う。
だから登れると信じた。
日が昇るころに昇り始めて
日が頭の上に来る頃に俺は登り切った。
そして、その先には……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます