ファクオウとテルヒコ
弐屋 中二(にや ちゅうに
瓦礫
瓦礫の中で俺は生きてきた。
この街には瓦礫以外にも何でもある。
最初は缶詰の開け方も分からなかった俺だが
気付いたら、火のつけ方も
温かい寝床の作り方や、マズくない水を飲む方法も覚えた。
図書館と言うらしい本の沢山ある場所で
でなぜか読めた本で
俺は人間と言う生き物だということ
そして、昔は沢山の人間がこの世界には
存在していたことを俺は最近知って驚いた。
崩れかけた大きな建物の図書館には古い映像も残っていて
そこでは、たくさんの人間たちが
戦ったり、踊ったりする様子が記録されている。
なんで音がずっと流れているのかは分からないが
たぶん昔は、悲しんだりしたときに
ああいう気持ちよかったり、気持ち悪かったりする音が
流れてたんだろうなと俺はそう思うことにした。
テルヒコと映像の中で女は男に言った。
俺はその名前が好きで、俺もテルヒコと名乗ることにした。
そう、女。この世界には女と言うものが居たらしい。
俺は男なのも図書館で知った。
股にある棒がついているかどうか
そこが一番の外見の違いだそうだ。
女のことは気になるが、
俺はとにかく本を読んで、腹が減ったら
地下に沢山ある缶詰を食べて、生きるための知恵を磨き
そしてまた図書館に行って本を読んだ。
そうしているうちに、俺は大きくなって
ある時、瓦礫の外へと出て行けるような気がしてきた。
ある明け方
俺はいつでも戻ってこられるように
目印をつけながら
瓦礫の山の中を旅立った。
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