偶像
あぁ、尊き金陽様。輝かしい
私が崇拝して止まない女神レリフィア様の写し身。
愚かな教徒たちは私を女神レリフィア様の現身と謳いますが、それは大きな誤り。あなた様にとっては大変な不敬でしょう。
ですが、そんな不敬すらも御赦しになる。感服以上の言葉はありません。
慈悲深くも金陽様がお与えくださる試練の数々。私にはどれも困難なものでしたが、あなた様の理想の解を導き出す為に今日まで尽力致しました。
全ては尊き御身の為に。
しかし、金陽様はご納得なされない御様子。
私の解では満足なされないでしょうか。
まだ何か足りないのでしょうか。
祈りが足りなければ回数を増やしましょう。
救済が足りなければ該当者を探しましょう。
全ては女神レリフィア様、そして金陽様の御心のままに。
私の信仰は全て余すことなく捧げます。
ですから、どうか。どうかお導きください。
私の生い立ちなどとっくにお判りでしょう。私がこの内戦に勝たなければならない事はご存じでしょう。
世継ぎにしか目がないお父様に捨てられ、お母様と共に路頭に迷っていた時。
憐れな幼い私に語り掛け、導いてくださった慈悲深き女神レリフィア様。
「父親譲りの黄金の髪と瞳を持つあなたなら、レリフィック教会は喜んで迎え入れ保護するでしょう」
その言葉に偽りはありませんでした。
教会の皆さんは大変親切にしてくれ、進学まで援助してくださいました。
あの時の啓示があったからこそ私は自身の容姿を憎まず、教会の中でも重要視される今の地位にあるのです。
大切な愛しいあの子に出会えたのも、こうして日々を共に過ごせているのもあの時の啓示あっての事なのです。
全ての御恩は信仰を持ってお返し致します。
それこそが私の生きる理由であり信仰。これは決して揺るぎません。
もしこの内戦で結果を残さなければ、我々レリフィック教徒はその信仰を自国に留めるしかないのです。
信仰の規模が縮まるのは女神レリフィア様や金陽様も望まぬと存じます。
女神レリフィアの教えは広く人々に信仰されるべきもの。そのような結末ではいけません。
その為にも私は金陽様に導きを乞いたいのです。
私に、レリフィック教会に。どうか勝利をお与えください。
我々が向かうべき勝利への導きを、優しい声色で花を手折るように紡いでください。
私には金陽様の啓示が必要なのです。
私が自身を見失わない為に。闇に飲まれる前に。
どうかその輝きをお与えください。
どうかその輝きで
あぁ、栄光の
まるで神々しく金色に輝き降り注ぐ陽光のよう。
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