第4話 初の校内公演

3日でコントを書き上げた小村の脚本を二人は練習し、その2日後。

放課後の何人か生徒が残っている高野の教室に高野と桐ケ谷が入って来て、教室で小道具の準備をした。

「どうも、どうも、今からお笑い研究部のショートコントをしまーす。」

「おお??」

 高野の教室はガヤガヤした。

「美華ちゃん?」

「皆、見てね。」

「今から何が始まるの?」

「ショートコントよ。」

 と、高野が言って、

「ショートコント『女子高生とOL』。」

「姉さん、おかえり。」

「ああ、ただいま。今日も疲れた~。」

「こたつに入れば?」

「入る、入る。うー、さっむ。」

「もう、おばさんくさいよ。」

「うっさい。ところで、学校どうよ?」

「友達に気を使って大変。」

「そうよねえ、OLも社交辞令で大変よ。今の女子高生って、何が大変なの?」

「例えば、本アカ、サブアカ、裏アカフォローしたり、とりあえず、RT、いいね!したりさー。」

「それは、大変だ。こっちだって、『前髪切った』とか、『ネイル変えた?』とか、『いつもとメイク少し違うね』とか、褒め合わないといけないのよ。」

「ひえーー、それは大変だ。」

「でしょ?そんで、お局さんの機嫌をうかがったりさ。本当は機嫌とるより、『期限過ぎてますよ』って言いたいわ。」

「あはは。確かに。」

「女子トイレでたむろしたりね。」

「それは、変わらないね。」

「この年になってくると、後輩の結婚報告を聞くと、素直に『おめでとう』と言えなくなるのよ。」

「ええ。」

「結婚するまでは、『別れろ』とか『後輩のくせに男と交配するな。』とか思うものよ。」

「・・・。」(しぶい顔)

「不幸は密の味じゃない。」

「まあね。」

「とくにムカつくのは可愛い女よ。」

「どうして?」

「ああいう輩は仕事できなくても怒られないのよ。」

「ああ、成程。」

「グループや派閥があって大変なの。」

「それは、高校と変わらないじゃない。」

「まあね。そんな感じ。あんたは?」

「彼氏ネタが大変かな。」

「ああ。」

「彼氏いるアピールがすごい子が居て。」

「うんうん。」

「また、彼氏の話かよって、思っちゃう。」

「ああ、成程ね。」

「SNS見ても、ほら、こんな感じ。」

「あー。」

「まあ、ミカン食べなよ。」

「ありがとう。」

「ところで、私は皆から人気あるのよ。」

「えっ、なんで?」

「だって、本アカ、サブアカ、裏アカフォロー、沢山されてるし、RT、いいね!も沢山来るもん。」

「私だって、メイク変えたねとか、髪切ったねって、同僚から言われるのよ。」

「まあ、けどグループも大事だけど。」

「そうね。」

「彼氏ほしいね。」

「そうよね。」

「どうやったら、彼氏できるのかしら。」

「こたつで、ミカン食べながら、愚痴をたらたら言って、彼氏出来ればなあ。」

「そんなんで、彼氏が出来たら苦労しないわ。」

「・・・。」

「・・・。」

「けどまあ、とりあえず、こたつで、ミカン食べながら、たらたら言ってたら、何か思い浮かぶかもね。」

「そうね。そうしようか。」

「終わりです。ありがとうございました。」

 と、出演者二人は言った。

観客の生徒たちはどうか・・・。

「面白かった。」

「うん、面白かったよ。」

少しだけ、歓声が上がった。

「ありがとう。」

 と、高野は言った。

「美華っち、そんなことしてたんだ。」

「演劇部は?」

「演劇部の合間にやってるんだー。」

 と、高野は言い、

「へえ、そうなんだーー。」

「また、見せてねー。」

 と生徒たちは言ってくれた。

「ありがとう。また、不意にするからねえ。」

「不意。」

 と、クラスの生徒は笑い、

「そう、不意。」

 と、高野は返した。

「しばらくは、不定期に、お笑い研究部の知名度向上のため、教室公演をしたいと思ってます。今は色んなクラスに居残っている生徒に披露したいと思います。」

と、高野は締めくくった。

「そっか。」

「がんばれー。」

と言う、声とともに高野と桐ケ谷は小道具を持って、クラスを出て行った。勿論、後で、小村も小道具の持ち運びを手伝ったが。

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