第3話 部活動開始
さて、3人集まって、自己紹介やお互いの事、お笑い研究部の事の話をした。
「私、2年の桐ケ谷章子。宜しく、小村君。」
「あっ、はい、宜しくお願いします。」
「小村君はお笑い好き?」
「はあ、普通です。まあ、けど脚本の参考にコントとか三谷幸喜の映画とかは見ますね。」
「私は好きなの。だから、美華に誘われた時、やろうと思ったわ。」
「はあ。」
「さて、3人集まったことだし、なんのコメディする?」
「あの・・・。」
「何かしら、小村君。」
「先にまず、コメディは少し長いから、まず短い、つまりコントを作らない?」
「・・・。」
「・・・。」
二人は沈黙し、特に小村は自分の意見が高野に通るかと、ドキドキしていた。
「だめ・・・かな?」
「いいわ。まず短めにいこう。」
と、高野は承諾した。
「そう、ありがとう。僕も面白い系の脚本は初めてだから。」
「小村君は脚本を書いたことないの?」
「今回、初めて。」
「そう、小村君の初めてを私たちが貰うのね。」
高野が少し色っぽく言ったので、小村はドキッとした。
「さて、私が部長します。いいですか?桐ケ谷先輩?」
「まっ、美華が作る部活だから、いいんじゃない?」
「わーい、有難うございます、先輩。」
高野は桐ケ谷にチョップをいれた。
「もう、美華ったら、変なことして。」
「えへっ。」
「問題は副部長ね。」
と、桐ケ谷は普通の顔をして考えた。
「そうですね。」
「副部長は年長者である桐ケ谷先輩の方が・・・。」
と、小村は言った。
「年長者って言い方があれだけど、まあ、いいわ、私がする。」
「有難うございます。桐ケ谷先輩。」
「じゃあ、僕は部員で。」
「これで、決まりね。」
「ふうー。」
「それじゃあ、さっそく部活しますか。」
「えーー??」
小村は戸惑った。
「どうしたの?小村君、元気いっぱいね。」
「いや、まだ、脚本出来てないんですが・・・。」
「・・・、そうね。どうしようかしら。」
高野は考えた。
「うーん、今日はこれで終わりにしない?」
「そ・・・、そうしますか。」
高野は少し寂しそうだったが、
「じゃあ、次の部活はいつにします?」
と、切り替えた。
「そうね、皆、普通の部活があるから、不定期になるのね。」
「そうです。いけそうな時間に部活を再開します。」
「じゃあ、明後日は?」
と、小村は言った。
「うちらは大丈夫でしたっけ、先輩?」
「美華がうちの看板役者なんだから、美華が大丈夫なら、いけるんじゃない?」
「私は大丈夫ですっ。」
「では、明後日で。」
「その時には、短くてもいいから、小村君、コント、宜しくね。」
「あ、うん・・・。」
本日のお笑い研究部の部活は終了した。
小村は文芸部の部室に行き、文芸部の活動をした。
というか、その部活でコントの執筆をした。
「ねえねえ、小村。」
「?」
「あんた、高野さんに何言われたの?」
「部活・・・、作った。」
「えっ、何部?ていうか、高野さん演劇部じゃなかったっけ?」
「なんか、お笑い好きで、お笑い研究部を・・・。」
「へえ、高野さんがねえ。あんたは何の係?」
「僕はコントの脚本執筆。」
「ああ、この間の文化祭で、コント風の文章書いてたわね。」
「そうなんだ。それで高野さんに目を付けられて。」
「へえ、そうなんだ。」
「だから、コントの脚本を書かないと。」
「そう。」
そうして、小村はコントを創作し始めた。
「どういう題名にしようかな・・・。」
「やっぱり、二人をよく知らないと上手く書けないな。」
と、小村は思い、演劇部に行った。
演劇部は練習中だった。
「あら?どうしたの?小村君?」
と、高野が言った。
「その、高野さんと桐ケ谷先輩のことをもっとよく知ろうと思って。」
その時、演劇部がざわついた。
「ええ?」
二人は困惑した。
「いきなりそんなこと言われても・・・。」
「ねえ。」
「けど、僕にはそれが必要なんです。」
「・・・。」
「えと、どうして?」
と、桐ケ谷は不思議そうな顔をして聞いたが、高野は思案した。
「それは・・・。」
と小村が少し躊躇いながら言うと、
「分かったわ。」
と、高野は答えた。
「コントを書くのに少しでも二人のことを知ってた方がいいかなと思って。」
と、小村は自信ない様子で答えた。
「え、そっち?」
と、高野は言い、
「ん?そっち?」
と、小村は不思議そうに聞いたが、
「・・・なんでもない。」
高野はぷいっとした。
「成程、分かったわ。協力する。」
「ええ、そうね。」
「どうすればいい?」
と、桐ケ谷が聞くと、
「少し観察します。」
と小村が冷静な面持ちで答えた。
「成程、分かったわ。」
「ええ、かまわないわ。」
こうして、小村は二人を観察した。
彼女達の事が少し分かった。
高野は芝居に対して真摯に向かっていた。そして、桐ケ谷もである。
しかし、時々高野は変な行動をする。彼女は、笑いを取ろうとしているんだと思う。とても二人は魅力的だな、と小村は思った。高野さんの変な行動を除けば。
さて、小村もコントを作り始めた。あーでもない、こーでもないを言いいながら、脚本を作った。
そして、二日後。
「久しぶりね、小村君。相変わらず変わってないわね。」
「二日では変わらないよ。」
「私は変わったわよっ。」
「えっ、そうなの?」
「酷いわ、小村君、髪切ったの気づかないなんて。」
よよよ、と高野は倒れた。
「御免なさい・・・。」
「こら、美華、小村君落ち込んじゃったじゃない。」
「少しやりすぎたかしら。」
高野はけろっとしていた。
「ごめんね、高野君。美華、すぐ芝居をするから気を付けて。」
「・・・はい、分かりました。」
「小村君はまだまだ、私のこと分かってないわ。」
「え、え、まあ、すぐには。」
と、小村は彼女達を観察しているとはいえ、そんなにすぐに性格の把握は難しいよと思った。
「そうだ、コント見せて。」
「あっ、はい、どうぞ。」
と、小村は二人にコントをみせた。
仮題 『客と店員』
「早くて、安い店か。よし、ここにしよう。」
「いらっしゃいませーー。何名様ですかー。」
「1名です。」
「7名様ですねえ。」
「1名です。」
「1名ですねえ。席はこちらになります。」
「広いですねえ。この席でいいんですか。」
「どうせ今日も誰も来ないと思いますので。」
「えっ、怖いなあ。」
「ご注文は?」
「うーん。少し待ってもらえもすか?」
「済みません。うち早さを売りにしてまして早く頼んでもらえますか?」
「そっちの早さも求めるの?」
「はい、そうなんですーー。」
「じゃあ、オレンジジュースで。」
「はい、かしこまりました。」
「ふう。」
「はい、オレンジジュースです。」
「えっ。早いな。」
「早さを売りにしていますから。」
「よし、飲もう。」
「有難うございます。お会計ですねー。」
「早いよ。まだ、飲み始めたばっかりだよ。」
「済みません、うち、早さを売りにしてますから。」
「ええ、早い。」
と、言いながら、客は急いで飲んだ。
「はい、ごちそうさん。会計は?」
「25円でございます。」
「えっ、安すぎない?」
「安さも売りにしてますから。」
「はい、25円」
「ありがとうございました。またお待ちしております。」
「もう来ない。」
完
「ど・・・、どうかな?」
「・・・。」
「・・・。」
二人は沈黙していた。
「面白くない?」
「いえ、面白くないことはないわ。ねえ、桐ケ谷先輩?」
「ええ、そうね。けど。」
「けど?」
と、小村が問うと、
「テンポが速そうだから、芝居をするのがなかなか大変そうね。」
と、桐ケ谷は真剣な面持ちで言い、、
「そうですね。」
と、高野は真面目なテンションで答えた。二人は既に役者の顔になっていた。
「まあ、けど折角小村君が作ってくれたんですもの。まず、やってみませんか。先輩。」
「そうね、やってみましょう。」
やってみた。
終った。
「早いですね。」
と、小村が言うと、
「これぐらいお茶の子さいさいよ、ねっ、先輩。」
「まあ、そうね。芝居の流れは早いけど、いけるわね。」
「これから、どうします?」
と、小村が問うと、高野が、
「そうね。演劇部に見せてみます?先輩?」
「ええっ。もう誰かに見せるの?」
と小村は言った。
「だって、誰かに見せたいじゃない。」
と、高野は楽しそうな顔で言った。
「そ・・・、そうなんだ。」
「とりあえず、今回は短いコントだから、youtubeに投稿してみます?」
と、高野が提案すると、桐ケ谷は、
「そうね、してみようかしら。」
と、言った。
お笑い研究部はコントを撮影し、youtubeに投稿した。しかし、
「やっぱり、なかなか再生数は上がらないですね。」
と、小村は淡々と言い、
「そうね。やっぱり、1つのネタっていうのも厳しい要因ね。」
「まずは校内の知名度からねっ。」
と、高野は直近の目標を提示した。
「どうするの?」
と小村は高野に尋ね、
「そうね、学校内でコントを披露するの。」
と、高野は提案した。
「ええっ?」
と、小村は驚いた。そして、
「いきなり?するなら、なんかこう、先に皆に予定した方がいいのでは?」
小村は焦って高野にしっかりと学校の皆に伝えた方が良いと言ったが、
「突然だから、面白いんじゃない。」
と、高野は楽しそうな面持ちで答えた。
「美華、問題があるわ。」
「桐ケ谷先輩。」
と、小村は同意者がいると思った。しかし、
「美華、問題はどこでするかよ。」
「そっち?」
「そうねー、まずは、放課後クラスをねり歩くのはどうかしら。」
「いいわね。」
「いいんだ??」
こうして、お笑い研究部の近場の目標は決まった。
「だから、小村君また、新しいコント作ってね。」
「少し、時間かかるけど、・・・はい。」
と、小村はしぶしぶ承諾した。そして、
「まあ、文芸部の書く予定も埋まっていいんだけど・・・。」
と、小村は言った。
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