第2話 創部


 小村は拍子抜けをした。彼は家に帰って、

「うーん、僕がコメディの脚本をねえ。」

 と、色々考えていた。小村自身そこまでコメディを書いたことがない。文化祭の時、どうせなら、面白いのが言いと思い、たまたま書いたのが、お笑い系の文章であった。

「僕がコメディ・・・。」

コメディ、コメディと小村は考えていると、

文化祭で書いた自分の本を思い出し、奥の方から取り出した。

「これだ、これ。」

それは、コント調の短編である。

題『ある学校の放課後』

この物語は、とある学校のとよくある日常の放課後を書いたものである。二人の女子が他愛もない話を淡々としている所を書いている。彼女らの名前はヨッチャンとヤッチャンである。ヤッチャンから会話が始まる。

「最近なにしてる?」

「youtube見てる。」

「youtube見るよねー。」

「どんな内容の見る?」

と、ヨッチャンが尋ね、

「そうだなー。バラエティとか?」

と、ミッチャンは思い出すように答えた。

「へえ、そうなんだ。」

「ヨッチャンは?」

ヤッチャンは尋ね、

「私は過去の昼ドラ見る。」

と、ヨッチャンは答えた。

「へえ。」

「あの、ドロドロしたのが好き。」

「そうなんだ。」

「最近さあ、スマホ買ったんだ。」

「そうなんだ。見せて。」

「ドロドロしてるでしょ。」

「ドロドロしてるスマホって何?溶けてるの?」

「まあ、見て。」

「・・・、ああ、確かに、待ち受け画面、三角関係の写真ね。」

「そうドロドロ。」

「そういえば、この学校をどうして受けたの?」

と、ヤッチャンはふと疑問に思い、ヨッチャンに尋ねた。

「ヤッチャンは?」

まずヨッチャンが聞いた。

「うーん、家から近いから。」

「私はこの学校人間関係がドロドロしてるって聞いたから。」

ヨッチャンは好きなことを言うテンションで答えた。ヤッチャンはそれが好きなんだなあ、とは思ったが、

「そんな学校、普通はやでしょ。」

「私は、大好物だから。ジュル。」

「・・・まったく。」

「昨日もさ、スカートドロドロになっちゃって。」

「なんで、スカートがドロドロになるのさ。」

「つい、弟と制服のまま、砂場で遊んで。」

「そうか、けど優しいね。弟から誘われて、遊ぶなんて。」

と、ヤッチャンはヨッチャンの姉らしい一面を垣間見たと思ったが、

「いや、私から砂場で遊ぼうと誘ったの。」

ヨッチャンは普通に答え、ヤッチャンは拍子抜けをした。

「あんたかい。どうして?」

「ドロドロになりたかったから。」

「・・・。」

「・・・うふ。」

と、ヨッチャンは自分の好きなことを告白したので、恥じらいながら色っぽく言った。

「もしかしてヨッチャン、とろろ好き?」

「どうして分かったの?」

ヨッチャンは好きな食べ物を当てられて、ビックリした顔をした。

「ドロドロしてるから。」

「まあまあかな。」

 と、小村は自分の短編を評価した。

「彼女はこれを見たのか・・・。」

 まあ、面白めには作ったが、と小村は思った。

「コメディというより、コントだよな。」

 と、小村は自分の本を読みながら、プロのコントを見たいと思い、youtubeでコントを見ていた。

 次の日。

 高野は小村のクラスに来た。

「ど・・・、どうしたの。高野さん。」

「あの、小村君。」

「はい。」

「小村君と・・・。」

「はい。」

「実は・・・。」

「ゴクリ・・・。」

「明日からコメディをしたいわあー。」

芝居をしている風な言い方で、高野は言った。

「ええ??明日から」

「そのために部活を作ろうと思うのっ。」

「部活も?」

「うちの高校、兼部は大丈夫だから。心配しないで。」

「そこを心配にはしないけど、僕も参加?」

「勿論よっ。」

「何部を作るきだい?」

「お笑い研究部よっ。」

「へ・・・へえ。」

「私、前々からお笑い系の何かを作るのが夢だったの。やっと、その夢が叶えて嬉しいわ。」

「あ・・・、熱い。」

「いいかしら、小村君・・・。」

「・・・。」

「私の我が儘聞いてくれる?」

「・・・はい。」

「そお、ありがとーー。」

「あ・・・、あと。」

「どうしたの?」

「コメディしたいなら、あと1人居るんだけど。」

「大丈夫。うちの演劇部からお笑い好きの先輩を呼んであるから。」

「・・・はあ。」

「顧問は?」

「うちの演劇部の顧問に兼任してもらうわ。」

「・・・すげえ。」

 と、あっという間に色んなことがとんとん拍子で決まって行った。

次の日。

「さあ、旗揚げよ。」

 と、高野はテンションを上げて言った。、

「おー。」

とお笑い好きの先輩が、

「お、おおっ。」

 と、小村はやる気なく言った。

 お笑い研究部、始動。

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