高野美華の軽演劇哲学
峪明博
第1話 二人の現実の交差
小村寛は高校1年生の男子で、彼は恋をしている。小村が好きな人は同じ高校同じ学年の、高野美華である。
彼女は、美女で成績優秀、スポーツ万能、友達付き合い良しの非の打ちどころのない女性である。いわゆる、高嶺の花である。
ただ、変わった所はあるらしい。
彼女が変わっている所なんてのは噂でしかない。それ以外は 完璧なんだから僕とは釣り合わないかもしれないなあ、と小村は思った。
高野は演劇部所属で、彼の高校の演劇部のスターである。一方、小村は、脚本志望の文芸部員である。クラスも部活も違うので、出会いすらなかった。
ある時、小村のクラスに高野が来た。いきなりの事で、クラスの子達が驚いた。
「ええっ?」
「高野さんが来た。」
そして、高野は真面目なテンションで言った。
「小村君いますか?」
「えっ?」
と、クラスの子達がどよめいた。この学校屈指の美女である。皆がどよめいたのも無理もない。
「はい、僕ですけど・・・。」
「貴方が、小村君ね。少し、来てくれる?」
「え・・・、あ、はい・・・。」
と、小村は、高野に呼び出された。
「な・・・、なんの用事だろう?」
「告白にしては、面識なさそうなのに。」
と、クラスの子達は言った。一方小村は彼のクラス前に立たされた。
「あのね、小村君、相談があって。」
「・・・、え、はい。」
「実は・・・。」
「・・・。」
「私・・・。」
「ゴクリ・・・。」
「舞台でコメディをしたいと思っているのおー。」
芝居をしている風な言い方で、高野は言った。
「・・・、えっ?」
「あの、私、お笑いが大好きで、コメディを前々からしたいと思っててっ。」
「・・・。」
「それで、脚本出来る子を探してて、文化祭の時、文芸部の本を見て、貴方の文章を読んで『これだわ。この子にしよう。』と、思ったわ。」
「・・・はあ。」
「おかげで、私、本を250円も支払ったのよっ。」
「あ、ありがとうございます。」
「貴方の文章が載っていた本だったから・・・。」
ちらっと高野が小村を見て、小村はドキッとした。
「だから、小村君。部活の合間で良いから、私に力を貸してください。」
「・・・はい・・・。」
はい、しか小村は言えなかった。
「本当に?有難う。お礼はまたする・わ。」
彼女はそう言って、変なステップしながら自分のクラスに戻って行った。
小村は何が何だかさっぱりだった。ただ、
「彼女が変わっているという噂は本当だったか・・・。」
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