第11話 音楽

ハルト:音楽だって

澪夢:音楽ですか?


ユウキ:まずは音楽の普及かぁ……アレ、いつだっけ?

澪夢:長生きしまくってるせいか、いつ頃なになにが起きたとか……そういうの疎くなりますよね。こう、日々の生活を意識してないというか……

ユウキ:ちょっと違うけど、自分が初めて立ち上がった日のことを覚えてるか? 的な。気づいたらそれが当たり前だったというか……。

澪夢:でも、私は別ですけどあなた、14,5歳で堕ちてきたんでしょう? 現実世界で当たり前なことがこの世界ではないってザラにあったわけでしょ?

ユウキ:音楽なんて程遠い生活してたからなぁ……。そもそも、活版印刷どころか人……いや、生命が存在しない時代もあったわけで。

澪夢:あぁ……300億年以上は伊達ではないと……。

ユウキ:人類が誕生して1億年くらいしかたってねーからな。こっちは流石に覚えてる。インパクトありすぎたから。あー、でも、現実世界とはちょっと事情が違うんじゃね? こっちにはすでに「音楽」の概念がある堕ち人がいるんだから。

澪夢:そうですね、神族の堕ち人なんかは人が発生するより前に落ちてきてますし、その方々の知識のほうが先行してる場合も多々あるでしょうしね。

ユウキ:どこの国かわからねーけど、めっちゃ綺麗な歌声の人いたなぁ……ずいぶん昔だけど、あれは感動した。

澪夢:ほう?

ユウキ:まだ-街-もできてねーし、俺もふらふらしてた頃だけどな。川のほとりでそれはそれは見事な歌を歌う女性が居たんだよ。アレいつだったかなぁ……。

澪夢:あなたを感動させるなんて相当ですね。

ユウキ:何語かも忘れたけどな。古代神聖言語だったかな……あんときは古代でもなんでもないけど。

澪夢:また特殊な……

ユウキ:音楽つながりだけど、この世界CDって概念ないよな。

澪夢:どうでしょう? フェンファーゲンは知りませんけど、ペクダバザードにレコードはありますよ。

ユウキ:まじかよ。え、CD無いのアルヴェリアだけ?

澪夢:どうなんでしょうねぇ……アルヴェリアの人々はサテライトとの契約を義務化してますし、サテライトで音楽聞けますからCDなんて需要なかったんですけど……。ペクダバザードにサテライトは居ませんからねぇ。

ユウキ:大体堕ち人の知識から楽器とかも再現されてるから、現実世界にしかない楽器とかもないよね。

澪夢:逆にこの世界にしかない楽器とかありますっけ?

ユウキ:竜笛。ドラゴンの角を材料にした笛とか。

澪夢:広義の角笛じゃないですか……。

ユウキ:そっかぁ……そういう意味ではないかも。や、音全然違うじゃん? 竜笛。

澪夢:魔力こもってる分ね……それなら魔音器とかもそうでしょうか? 魔力で動かす音楽プレイヤー。

ユウキ:あー……妙に味があるんだよなぁ……歪っていうか。

澪夢:大昔は持ってましたけど、さすがに壊れますよねぇ……。

ユウキ:まぁ、よく使うもんじゃないしねぇ……一回で満足したっていうか。

澪夢:そうそう。趣味としてはいまいちお金かかりすぎますし。




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