第2話 ビビり

 そんなやり取りをしながらようやく目的の施設に到着した。

 森の中にぽつりとある、軍事施設というより民家といったような印象が強いこじんまりとしたかなり古く、さびれた二階建ての廃墟だった。

「なあ、マジでここなのか?」

 近くの茂みに潜みながら施設の様子を伺いつつケッサが小声でブージに問いかけた。

「ああ間違いない。指令書にある特徴とも一致する」

 ブージが汗でくしゃくしゃになった指令書を取り出して確認をとる。

「さあ行くぞ」

「お前先に行って来いよ。俺は周りの警戒しとくからさ、な?」

 妙に先ほどから小声で、茂みから動こうとしないケッサ。

「なんだお前、ビビってんのか?」

「ビッ、ビビッてねーし!ただちょっと周りの警戒をだな……」

「わかったよ、じゃあほら先に周り撮っといてくれ、俺は中でお宝さがしてくるから」

 記録用の八ミリをブージはケッサに放り投げた。

 人の気配がしない廃墟に念のため小銃を構えながらゆっくり近づいていく。

 慎重に進むブージの後ろから大きな声でケッサが、

「金目のものは山分けだからなー!」

 と大声で叫んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る