第19話 それに
快適に暮らしている時間に、暗雲が立ち込めるのは
案外と早くに訪れた。
仕事先の店長が変わったのだ。
某有名な中古本屋にパートとして勤務していたのだが
この中古本屋は、コロコロと店長が変わるのだ。
その店長は、私が働き始めて4人目の店長だった。
4人目の店長は、人として、とても苦手なタイプで、
だが、仕事上の付き合いだからと割り切って接していた。
あちらも苦手なタイプだったのだろうと思うが
歩み寄ろうとして来られると来られるほどに、
嫌悪感は増すばかりだった。
そうこうしている間に、あちらは、仕事中
ずっと私が何をしているのかを見張るようになってきた。
気付かないふりをしていたが、
備品を取りに3回の倉庫に物を取りに行った時にまで追いかけて来られて
ストーカーのような粘着性を感じてしまい、怖くなってしまった。
当時、パートの勤怠表なども私が組んでいたこともあり
自分の出勤を、なるべく店長とずらすように組んだりもした。
が、その店長はとても粘着質で、他のパートさんや、
遅番のアルバイトの学生にまで
『橘さんの、なんかイヤな所とかない?』
『橘さんって仕事できるの?』と聞いて回っていた。
そして
『俺と合わないから橘さんクビにするから』
と。
本部に何と報告したのか判らないけど、あっさりと解雇された。
『不法行為をしたわけでもなく、事前通告なしの解雇は不当』
『就労中のイヤガラセによる精神的苦痛』を理由に
本社に説明して欲しいと申し入たら、
半ば示談金のような金額を貰い
『2度と、本社含めたグループ会社では就労しない』
というような趣旨の誓約書をかかされた。
そして、無職な上に、精神科通いの私になった。
その店長は、私が解雇された1か月後、
私の事とは別件で、セクハラで地方に飛ばされた。
セクハラを訴えたのは、遅番の若い女の子だった。
親離れのススメ、もしくは毒親からの更生のススメ 橘家の場合 橘 雨月 @akorin74
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