第15話 そうして

世間のお盆休みから1週遅れて休みを取った、母と姉がやって来た。

我が家は、まるで民宿のような扱いで

母と姉は、毎日観光するだけだった。

家に居る間は、赤子と遊んでいるだけだった。

我が子は、ビックリする程、人見知りをせず、

私以外の遊び相手を歓迎していた。

私は、食事の支度や洗濯が倍になり、

手伝いはおろか、話し合いすらしてもらう事はできなかった。


この頃は、すでに母乳は出なくなり完全ミルク状態だったので

毎晩、酒を飲んでいた私は、夕食は食べていなかった。

自分は食べない夕食を3人分も用意しなくてはいけなかった。

そんな私に、母が掛けたセリフは

『あんた料理できるんだー結婚したから?』だったのには驚いた。

散々、実家にいる時に作っていたことを、この人は忘れてしまったんだろうか?


母と姉が帰る前日、母が

『今晩は、お礼もかねて私が夕食つくるから』だったが

出て来たのは、刺身とゴハン・・・

そう、『手巻き寿司』だったのだ。


クズの家では、そんな料理は出た事がなく

どうすればいいのか判らないようだった。


そうして、何も進展することもなく

嵐の様に、母と姉は帰って行った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る