第12話 そんなこと

母と姉が来ると言っていた朝。

退院翌日も、クズが仕事へ行くので弁当を作った。

あたり前だが、夜中に子がグズッて、ろくに寝ていない。


母や姉が昼過ぎに来るとは言っていたが

洗濯をしたり、慣れない子育てに奮闘していた。

母と姉が到着した時、まさに授乳をするところで

母乳が、ほとんどでなかった私は、ミルクの準備もしていた。

ミルク用に用意されていたお湯をみて姉は

『コーヒーは、後でいいよ』と言った。


『コーヒーは、後でいいよ』

なぜ、接待される事が前提なのか、

周りにミルクの粉や哺乳瓶が用意されてるのにそう思うのか。


滞在中の姉は、やはり家事を手伝ってくれる訳でもなく

家事をするのは母と私だった。

ただ、赤子との写真を撮りに来ただけのようで、

なんとなく観光したりで3日で帰って行った。


母は、10日滞在したが、後から考えると

これは大失敗だった。

姉が帰った後、母は、さらに家事を手伝ってくれた。

疲れ切っていた私は、その時は素直に感謝もしていたし

これで、今までのワダカマリが消えるならと喜んですらいた。


が、母が何でもやりすぎてしまったせいで

母が帰った後も、クズはなに1つ手伝わない人になっていた。


母が帰った後『疲れた』というセリフとともに、3日も仕事を休んだ。

私が、早朝から弁当を作っているにも関わらずだ。

子を見ていてくれる訳でもなく、家事を手伝ってくれる訳でもない人が

家の中にいるのは苦痛だ。

さらに、そんなクズの食事を昼食・夕食と2食も作らなければならないのだ。

早朝から『仕事へ持っていく昼食』のために作っていた弁当は、

学生でいう所の『早弁用』になってしまっていたからだ。


1ヵ月検診に行く頃には、もうすでに体重も元に戻り

出産前より軽くなっていたぐらいだった。

何も変わらないクズっぷりに、この頃にはすでに、離婚を考え始めていたが

これから雪国は冬が始まり、生まれたばかりの赤子をつれて

どこかへ行くには、あまりいい時期ではなかった。




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