第9話 そうすると

母が、我が家にやって来た。

部屋中を掃除して回っていた。

しばらく私が居なかったので、多少の埃はあるにせよ

入院する前に家中きちんと掃除はしていたので

たいした汚れはなかった・・・ハズだか、

『こんな汚い家で・・・』などブツブツと言いながら

母は家の中を掃除して回った。


そして、入院する前から禁煙していた私の目の前で

タバコを吸うのだ。

なんのイヤがらせなのだろうか?と思った。


子の父親のクズが、仕事が休みな日に買い物に行く予定だったので

仕方なく母も連れて買い物に出掛けた。

もちろん、子供の物を揃えるためだったが、

母は、率先してアレがいいコレがいいと選び

頼んでもいないのに色々と買ってくれた。

だが、それは、すべて母が選んだもので私たちは、ただついて回るだけだった。

母には何も期待できないと、

無理を言って退院して買い物に来たのに、退院した意味はあるんだろうか?

必要であろう、ほぼすべての物を買い揃えてもらえて

クズは喜んでお礼を言った。

私も『ありがとう』とは言ったが、この虚しさはなんだろう。


母は、意気揚々と帰って行き、絶対安静のハズの私は

クズのために、買い物へ行き、食事の支度をし

弁当を作り、掃除をし、洗濯しなければならないのだ。

病院までは遠く、タクシーに乗れば往復2万近くかかるので

1時間に1本あるかないかの電車にのり

私は、週1で通院しなければならなかった。


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