第4話 それでも

父は、父なりの『誠意』を見せていたと思う。


『単身赴任』とやらに出ているハズの父は

2~3か月に1度、家へ顔を出していた。

時にはケーキ、時には本など、様々なお土産を持って。

いつも母1人に任せきりだから・・・そんな感じで

毎回、近所へ外食へ出掛けた。

しかし、この外食は、毎回苦痛だった。

近況と称した『子供らしい子供』を演じている私の小言から始まる。

母の酒を飲むスピードは加速していく。

母は、酒好きだったが、弱かった。

父は、あまり酒を好まなかったが強かった。

食事が終わる頃には、母は泥酔していた。

呂律は回らず、まっすぐ歩けない。

その母を姉が手を引っ張り連れ帰るのだ。

家へ、戻ると、すぐに寝かされた。

酔っぱらいと化した母が、なにやら父に絡んでいるのが聞こえる。


そんな事が続くからか、父は、休日の昼間にしか訪れなくなった。

そして、日暮れには帰るのだ。

その後の家の中の空気の重さは、耐えられないものだったが

『子供らしい子供』を演じている私は、

その空気を変えるよう、とにかくお道化てふざけ続けた。


そして、母と姉は、口を揃えて

『あんたとお父さんは、本当に自分勝手』

と、口にするようになった。


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