第41話 境遇
「オジサンもここの施設にいたの?」
「あぁここの斜め向かいの部屋にいた。」
「そうなんだぁ~オジサンも見捨てられたの?」
「キミは見捨てられたのかね?」
「うん。この施設の玄関の所に捨てられていたんだってさ・・・」
「そうか・・・私はゴミ捨て場に捨てられていたのだ。」
「え~本当なの?ワタシより悲惨じゃん!」
「記憶にないので悲惨かどうかはわからないが、
捨てられた場所がどこであれキミと私は同類だ。」
「仲間ね!」
「そうだ仲間だ。」
「じゃあオジサンは、ここにいた仲間と結婚したのね!」
「そう云う事になるな・・・」
「どんな人?」
「私が今まで見て来た限りの女性の中では最低にイイ女だ!」
「最低にイイ女?どういうこと?」
「今となっては悪いところが一言で云えない程のイイ女って云う事だ。」
「褒めてるんだ」
「あぁ褒めてるんだ。」
「でもオジサン彼女の方が好きなんでしょ?」
「あぁ出来ればそう願いたいもんだ。」
「ふ~ん。よくわからないわ・・・大人って難しのね。」
「あぁ大人はとっても難しいんだ。」
「でも、子供だって難しいわよ!」
「あぁそうだな・・・子供も難解だ。」
「だったらみんな難しんだね。」
「そうだな・・・」
「どうしたらいいの?」
「難しいものは無理にわかろうとしなければいいんだ。」
「へぇ~そうなんだ・・・」
「私はそう思っている。」
「ところでオジサンここに何しに来たの?」
「それが私にもサッパリわからないのだ・・・」
俺がそう答えると何やら女学生の部屋の外から、
ドタバタと足音が聞こえ、その足音は女学生の部屋の前で止まった。
トントン、ドンドンドン
誰かが女学生の部屋をノックした。
「は~い。」
そう女学生が返事をすると
「誰かと居るの?入ってもいいかしら?」
どこか懐かしさを感じさせる声である。
「どうぞ~」
そう女学生が答えると声の主は、
扉を遠慮がちに開け部屋の中に顔を覗かせた。
なんと声の主は園長先生であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます