第40話 心の底にある想い
四畳半ほどの女学生の部屋は、
当時俺たち三人が作戦会議室と呼んでいた、
ケメコが使っていた部屋であった。
実に懐かしい場所である。
カーテンの色こそ変わっていたが、
柱などの落書きはそのまま残されており、
一瞬タイムスリップした様な気分である。
「ははは~オジサンにはそのTシャツ小さ過ぎるね!
ミッキーが豚みたいになっちゃってるよ!」
「このネズミにはミッキーと云う名前が付いているのかね?
Tシャツの絵に名前を付けるなんてキミは変わっているな。」
「えっ・・・オジサン・・ミッキーマウス知らないの?
やっぱりオジサンは原始人ね!」
「私にはネズミの顔など見分けられないから、名前を付けるのは無理だ。」
「・・・・・・」
「なんだね?」
「ううん・・・なんでもないよ・・・」
「それにしても実に懐かしい・・・」
「何が懐かしいの?オジサンここに来た事あるの?」
「昔に何度も訪れた事がある。」
「この部屋に?」
「そうだ・・・」
「もしかして、ここに住んでいた人ってオジサンの彼女だったの?」
「彼女ではなかったが私の妻である。」
「えっ!どういうこと?いきなり結婚したの?」
「そうだ!そこに私の意思は全く存在しなかったがな・・・」
「奥さんはお人形の彼女の事は何も言わないの?」
「何も云わないが時々彼女の頭にパンツを被せて嫌がらせをしている。」
「オジサン、奥さんと彼女、どっちが好きなの?」
「・・・・・もちろん・・・
う~ん・・
かの・・
じょ・・
だ・・・」
俺はこの単純で簡単と思われた女学生の質問に、
何故だか言葉が詰まり即答できなかった。
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