第33話 偽りの告白


「おう~起きたのか?神妙な顔をしてどうしたんだ?」


俺の事を崇拝してやまぬ刑事が、

そう俺に尋ねた後でバーボンを喉に流し込んだ。


ケメコは頭をかきながら怪訝そうな顔をして俺を見ている。



「実は子供が出来た・・・」



ゲボッ!


俺の突然の重大発表に俺の事を崇拝してやまぬ刑事は、

喉を押さえケメコの方を見て、



「お前らそうだったのか?」


するとケメコは、


「冗談じゃないわよ!!気持ち悪いわねぇ~」



「違う!今ベッドにスヤスヤと眠っている彼女に、

子供が出来たんだ!彼女も産むと言っている!」


俺はその嘘が悟られぬ様に真剣な表情で二人にそう訴えた。


「はぁ?お前何を言ってるんだ?

お前の彼女ってビニールのアレだろ?」



「ビニールのアレとは何だ!!失敬な!!」



「・・・・・がははは~オイ!ケメコ、こいつ遂に狂っちまったぜ!」



「狂っているのは今に始まった事じゃないでしょ!

変な夢でも見てたんじゃないの?ほかっておけばいいのよ!」



おかしい・・・


俺の演技がわざとらし過ぎたのか???


まぁいい


作戦をこのまま続けよう・・・


俺は動揺した表情を悟られぬ様に二人に向かって言葉を続けた。



「だから、、ケメコ、、俺との子供の事は諦めてくれ!頼む!!」



「はぁ~??子供?、、、

諦めてくれも何もアンタみたいなキチガイの子供を産むなんて、

想像もしたくないわ!

だいたいそんなビニール臭い租チンに興味もないわ!

気持ち悪い!」



あれ?



何かが変である!



俺は思いきって尋ねた




「お前ら何を企んでやがるんだ?」


その言葉を聞いたケメコは、

俺の事を崇拝してやまぬ刑事に、

俺に何も言わぬ様にと首を横に何度も振った。



「オイ!ケメコ!何を企んでるんだ!」


俺はもう一度二人に向かって同じセリフを繰り返した。



「うるさいわね!明日まで待ってなさいよ!」


そう吐き捨てケメコは立ち上がり、

俺から奪い取った部屋の一室に入って行った。



「さて・・・俺も帰るぜ!明日また来るからよぉ~」


そう云って俺の事を崇拝してやまぬ刑事も、

グラスに残っていたバーボンを一気に飲み干し帰って行った。



(なんなんだよ~俺ばっかり、、のけものにしやがって・・・)


でもこうなれば明日まで待つしかない・・・


そう自分に言い聞かせ俺はシャワーを浴び、

スヤスヤと眠る彼女のベッドに再び潜り込み深い眠りについた。






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