第20話 計画変更
彼女とのドライブは久しぶりである。
いつも二人乗りのマシンだが今日は屋根つきの、
タイヤが4本付いた安定感抜群の車である!
深夜の国道をひたすら海に向かって走った。
1時間ほど走ったであろうか?
片側2車線の交差点で信号待ちをしていると、
隣に止まった車の運転手が驚いた顔でこちらを見ている。
(ん?なんだ?あっ!!いかん!)
俺は急いでマンションから出てきたので、
彼女に服を着させるのをすっかり忘れていたのである。
俺は即座に運転席を降り外に出て助手席のドアを開け、
自分が羽織ってきたナイトガウンを彼女に着させた。
隣に止まった運転手は俺の行動にかなり共感したのであろう。
携帯電話で友達か誰かに俺の紳士的な振る舞いを報告しているようである。
俺は隣の車に近づき軽く手を挙げ挨拶しようとしたが、
驚いた顔で急発進して逃げて行ってしまった。
まったくシャイな奴である!
俺はまた車を海に向かって発進させた。
それから5分ほどしてからであろうか・・・
何やら車の無線機から
「応答せよ!」らしきニュアンスの声が聞こえてきた。
私は無線機を取り、
「私に何か用かね?」と答えてみた
「貴様!何をしているんだ!」
何だか知らぬがやけに鼻息の荒い、
俺を崇拝してやまぬ刑事の上司であることには間違いない。
「私かね?私は今、彼女とドライブ中だが・・私に何か用かね?」
俺はもう一度同じ返答をした。
「馬鹿者!すぐに女なんか降ろして不審者を追跡しろ!」
「不審者?どういう事かね?」
「海に抜ける国道で黒いセダンの車に乗った全裸の男が、
ダッチワイフを助手席に乗せ走っているとの通報が今さっきあったのだ!
ただちに現場に急行して追尾して捕まえなさい!」
「緊急事態な訳だね?しかし彼女は口が聞けぬうえに、
1人では歩けないので降ろせない」
と俺がそう答えると
「もう何でもいいから追跡しなさい!応援要請もただちに向かわせる!」
その言葉を最後に無線は途切れた。
緊急事態なら仕方あるまい!
黒いセダンの車と云う事はこの車と似たようなタイプである。
彼女も俺の正義感を解っていてくれている筈である。
海に抜ける国道ならこの道をまっすぐだ!
俺は備え付けてあったサイレンのボタンを押し、
猛スピードで犯人を追いかけたのである。
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