第19話 裏切りのメッセージ


どれぐらいの時間、気絶していたのであろうか?


視線を斜め上にやるとケメコはソファで大いびきをかいている。


俺を崇拝してやまぬ刑事も、

ケメコとテーブルを挟んだ反対側のソファーで、

ヨダレを垂らしながら眠っている。



鈍い痛みと窮屈感を下半身に感じる。



俺は腰を起こし下半身に視線を落とした。



下半身にはバスタオルが掛けてある。



そしてそのバスタオルには何やら赤いマジックで、

文字の様なものが書いてある。



(ん?何が書いてあるんだ?)



俺は真っ白なバスタオルに書かれた赤い文字を読んだ。



そこに書かれていた文字



“**本日より女の子になりました**”



(本日より女の子になりました?えっ?どういう意味だ?)


俺は恐る恐るバスタオルの中に手を滑り込ませた。



(ン?ん・ん・・・・・えっ?え・え・え~~~~~

なんで~~???本当にない!!)



きょえ~~~~~~


俺は慌てふためき俺の分身がそこら辺に落ちて無いかを、

四つん這いのままキョロキョロと探しまくった。



(悪戯にも程がある・・俺の股間はどうなってしまったのだ?)


そして俺は下半身に目を落とし愕然とした。



ガムテープである!


俺の分身の上から肌色のガムテープが、

股間一杯に貼られていたのである。



なんてことを・・


俺は急いで剥がそうとしたが



「いててててぇ~~」


最悪である!


俺は何とか痛みの意識を和らげようと思い、

頭の中で九九を思い浮かべ、七の段に達した時に、

一気にガムテープを剥ぎ取った。



「ぎょえぇ~~~うっ!うううぅ~」


何とも情けない声と共に俺の分身は、

すまさそうな顔をして姿を現した。



(こいつらとこんな所にいたら気がおかしくなってしまう)



俺は足を引きずりバルコニーに出た。


そして俺はポツンとこちらに背を向け椅子に座っている、

ケメコに頭から黒いおばさんパンツを被せられていた愛しい彼女を見つけた。



「寒かったかい?可哀そうに・・」


俺は彼女を抱きあげ風に飛ばされない様に、

注意深くリビングの中に入れた。



さてこれからどうするか・・



その時である。



何かの夢でも見ていたのであろうか?



「う~うう~まてぇ~~」


と俺を崇拝してやまぬ刑事が寝言とともに寝がえりをうった。


そしてその拍子にズボンのポケットから、

奴が通勤代わりに使用している、

覆面パトカーの鍵が床に落ちたのである。



(しめた!気分転換に愛しい彼女とドライブにいこう!)



俺は奴の覆面パトカーの鍵を握りしめナイトガウンを羽織り、

彼女を肩に担いで、二人に気がつかれぬよう玄関を出た。


痛む足を引きずりながら24階の階段を下りる途中、

2度程転んでまた最初からやり直したが、

38分かかりなんとか地上に辿り着いた。



そして路上に止めてあった奴の覆面パトカーに彼女と一緒に乗り込んだ。



(右足はなんとか使えそうだ!これなら運転できる!)


そう確信した俺はエンジンをかけ、愛する彼女と一緒に、

真夜中のドライブを決行したのであった。



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