第17話 記憶の扉
「オイ!ケメコ!親しき仲にも礼儀ありだろ!
今すぐその毛むくじゃらを私の目から撤収させろ!」
「はぁ~?アタイのパンツ履いて喜んで喘いでいるアンタに、
そんな事を云われる筋合い無いわよ!だいたいノーパンはエコなのよ!」
俺は訳の分からぬケメコの言い分に頭が錯乱しそうになった。
その時である!
「お~~い~鍵が空いてたから入るぞ~~」
俺の事を崇拝してやまぬ刑事である。
ヤバイ!
この光景は実に俺にとって不味い!
しかし時は遅し・・
「あ~ら~イラっしゃい~~ビール呑む?」
ケメコは奴を見るなり俺にまたがったまま言葉をかけた。
「あ~勤務中だけど一本だけ頂くかなぁ~
それにしても新婚早々これは新しいプレーか?がははは~」
「この変態アタイが帰ってきたらアタイのパンツを履いて、
頭に自分のパンツ被って悶えて遊んでいたのよ!全く困ったもんだわ!」
「オイ!違うだろ!私の彼女の頭にパンツが被せてあったから成敗してただけだろ!」
「成敗?アタイのパンツを履くことが成敗なの?その変態的発想は犯罪っていうのよ!」
「犯罪?何を言ってるんだ!勝手に婚姻届出す方がよっぽど犯罪だろ!」
「勝手に?アタイはアンタのプロポーズに応えてあげただけよ!変な言いがかり付けないでよね!」
(俺がプロポーズ?)
俺は目の前でそんな白々しい嘘を付くケメコの言葉にあっけにとられた。
すると二人のやり取りを黙って聞いていた、
俺の事を崇拝してやまぬ刑事が俺に向かってボソッと一言
「お前が悪い!」
ヒぃヤぁぁぁぁ~~なななな~~何でだ!
俺はもう混乱の渦である!
「オイ!何でだよ!嘘つきは泥棒の始まりだろ!
お前一応刑事だろ!なんで俺が悪いんだ!あっ!!」
イカン!
イカンのねんのねん!
俺は普段は会話の中で「俺」ではなく「私」という言葉を用いるようにしているのであった。
しかし興奮して「俺」と言ってしまっている。
これはマズイ!
冷静さを欠くこの発言は本来の俺のあるべき姿ではない!
やり直さなければ・・
しかし次に放った俺の事を崇拝してやまぬ刑事の言葉に、俺は放心してしまった。
「だったらお前が嘘つきの泥棒だな!お前は確かに俺の目の前でケメコにプロポーズをした」
俺がケメコにプロポーズ?????
えっ!
俺は二人いるのか?
それとも俺は多重人格のサイコパスなのか?
俺は恐る恐る聞いてみた・・
「いつだ?俺は酔っ払っていたのか?」
すると俺の事を崇拝してやまぬ刑事はこう即答した。
「俺達3人が小学校1年生の時だ!そうだよなケメコ~」
「あ~そうよ~確かに小学一年の時だったわ!」
きょえぇ~~~~~
(意味が・・意味がわからぬ・・確かにそんな記憶もあるが・・でも・・)
えぇええぇぇ~~~~
俺は股間の痛みも忘れ途方に暮れた。
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