第13話 忍び寄る恐怖


「ふふふふ~」


ケメコは不敵な笑いを浮かべた。


そしてケメコが次にとった行動は・・


なんと自分のカバンの中から携帯電話を取り出し、

俺の四つん這いで下半身丸出しの姿をカメラに収めたのである。



「な・な・なにをするんだ!」



しまった!



イカン!


俺は動揺して「な」を、どもって「な・な・なに・・・」

と本来使うはずのない「な」を2回も使ってしまった。


俺は即座に


「なにをするんだ!下品なことは辞めたまえ!」


と言い直した。



「アナタの配っている新聞のチラシに挟んでばら撒こうかしら?」



きょえ~~~


これは非常にイカンのねんのねん!


未だかつてない非常事態!!!



ここで「やれるもんならやってみろ!」と言いたいとろこだが、

ケメコという女はそう言ったらやる女である!



看護婦とやらは完全に壁の色と同化して固まったままである!



このまま鍵を渡すしかないのか?


しかし以前ケメコに部屋を貸した時、

いや突然転がり込んできた時と云った方が正解だが、

壁に絵を描かれ、俺の彼女をクッション代わりに使い、

さらに俺の愛してやまない彼女をシワシワに老けさせた苦い記憶が蘇える。



ダメだ!


あまりにも危険過ぎる・・・



それにしても何故ケメコは俺の部屋を利用したいのであろうか?



前に転がり込んできた時もケメコは頑として理由を何も話さなかった。



そしてその時はなんの言葉も無く2週間ほどして、

姿を忽然と眩ませたのである。




「なに想いにふけってるのよ!忙しいから早く鍵を渡しなさいよ!」



「忙しい?なんでだ?」



「引っ越しの荷物が入ってくるのよ!」



「えっ!?引っ越し?俺の部屋にか?俺が退院したらどうするんだ?」



「知らないわよ!そんなこと!」




恐るべし思考回路の持ち主


その名はケメコ!!!


そうだ!これは夢だ!悪夢に違いない!


しかしたとえ夢であったとしても、

その夢から覚めることを許さぬのがケメコ


俺は窮地は更なる地獄へと続くのである。

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