第10話 ミステイク

全治三か月・・


神が与えたこの期間の俺の使命はなんであろうか?


そんな事を考えていると若い女が突然病室に入ってきた。


そしておもむろに俺の布団をまくり上げ、

俺の着ているものを脱がそうとしたのである。



なんと大胆不敵な行動を・・・


「お嬢ちゃん、私が欲しいのかね?

でもお嬢ちゃんには俺のイカスマンタケノコは刺激が強すぎると思うぜ!」


するとその女は、


手にしたタオルを濡らしながら小声で


「想像以上のアホだわ!」


と云った。



ん?



想像以上のアホ?


ここにアホがいるのか?


どこだ???



しかしこの部屋には女と俺しかいない。


まさかこの俺がアホであるはずがない・・・


とすると・・・


想像以上のアホと聞こえた言葉が聞き間違いである可能性が高い。



え~と・・



そうか!


正解は・・・


「想像以上のアレだわ!」


と云ったに違いない。



しかしここは病院である!


何とふしだらな発言を・・


昨今のバカ親教育のしわ寄せが、

このような発言を生んでしまったのであろうか?


俺は彼女の言葉を許してやろうと思い、

ピースサインを女に向かい満面の笑みを浮かべた。


すると・・


女は顔を引きつらせ明らかに動揺している。



イカン!


ついついクセでまた女をオトしてしまった・・・



俺は何て罪深き男なんだろう・・・


もうこうなると女は理性を止められない。


いきなり俺の想像を超えた行動をとったのである。


女はいきなり無言で俺の体をタオルで拭きだし、


何と・・・


そこは・・・



「おっ・・うっ・・」



俺の自然現象に驚く女


「早っ!!!!あっ・・すみません!」


女はとっさに反応した俺の俊敏な行動に、

思わず賛辞を口に出してしまったのである。



「お嬢ちゃんいいんだよ! 

でも彼氏と比べちゃ可哀そうだぜ!」



その言葉を聞き女は口に手を当てしゃがみこんだ。


そしてまたしても小声で


「キモっ!」



????


キモ?



(俺は自分で女を触らずして気持ちよくしてしまったのか?)



しまった!


相手はまだ20代ソコソコのレディーである!


俺と云う存在が心と体を痺れさせてしまっている。


重ね重ね俺は何と罪深き男なんだろう。


ここには真っ白な同じ格好をした若い女が沢山いる。



これでは俺がいるせいで嫉妬の渦の中に、

女どもを閉じ込めてしまう事になる。



俺の存在が彼女達を狂わせ苦しめてしまう・・・


たった一人の俺と云う男の存在が・・・



あ~、神よ!


俺を3カ月間もこんな所に拘束するなんて・・・



危険だ!


実に危険である!


さてどうするか・・・


そんなことが頭を巡ったその時である!


ドアの向こうからコツコツとピンヒールの音が鳴り響き、

こちらへと近づいて来たのである。


その聞き覚えのある足音に俺は寒気を感じた・・・


そして俺のもっとも苦手とするタイプの、

あの女が部屋の中に突然入ってきた。



その女の名はケメコ!!!



これは大変な事になる・・・


この部屋には俺と若い女二人きりである。


この光景をみたら、瞬時に彼女が俺に惚れていることがわかってしまう。



それにしても何故この場所が・・


そうか・・


俺は俺を崇拝してやまぬ刑事が、

ケメコにこの場所を教えたことを漠然と認識した。



(なんてことを・・・)


これは大!大!大!大非常事態である!!!







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