第8話 窮地の使命
どれぐらい眠ったのであろうか?
もう夜更けであろうか?
何やら息苦しい
その時である!
けたたましい音が鳴り響き、俺は一瞬で火災だと悟った。
俺はビックリして、すかさず病室のベッドから飛び起き外に出ようとした。
おっとイケない!
焦って飛び起きた姿は冷静かつ沈着な俺のキャラではない!
俺はまたベッドに戻り目をつむり直し、
煙が立ち込めてきた中で起きた場面からやり直した。
病室から出ると廊下は真っ白で、悲鳴やら怒声やらが遠くから聞こえてくる。
俺は戦地に来た戦闘員のように匍匐前進で廊下を這いずった。
途中の廊下の壁際に爺が横たわっている。
「オイ同志よ!大丈夫か!私の背中に乗れ!」
「・・・・・・・・」
爺は白目をむいて気を失っている。
イカン!
限界が近づいている!
俺はガウンを脱ぎ爺が煙を吸わぬよう頭からかぶせ、
お姫様抱っこをして前に進んだ。
煙の立ち込める勢いが増し、これ以上行ってもどこが出口だかさえわからない。
俺はすかさず廊下の窓をこじ開けた。
地上では消防車と人がごった返していた。
(これ以上の前進は難しい・・・)
そう判断した俺は気を失った爺を肩に担ぎ直し、窓枠へと足をかけた。
ここは3階である。
下には樹木が茂っている。
5階から飛べた俺である!
こうなったら飛ぶしかない!
「よし!飛ぶぜ!」
俺が勢いよく樹木の茂みに飛び込もうとしたその瞬間、
タイミング悪く爺が意識を取り戻した。
爺は頭から被っている俺のガウンから顔を出した途端、
状況が掴めないらしく
「ちと尋ねるがここは天国かね?」
と俺に聞いてきた。
「爺さん!天国か地獄か、これからのお楽しみだぜ!」
そういって俺は窓から爺を抱え茂みの中へ飛び込んだ。
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