第6話 ヒーローの宿命 


階段を途中まで駆け降り、ふと下を見ると、

凄い人だかりが俺の事を指差して見ている。


ふふふ・・


皆がヒーローである俺に何かを期待している!


ここは群衆の期待に応えるべきであろう。



俺は即座にグリコのマラソンランナーのポーズをとり、


群衆に向かって


「ア~イ・ア~~ム・でび~るま~~ン!」


と雄叫びをあげた。



決まった!



完全に決まった!



痺れるほどに決まった!



携帯電話のカメラで撮影をしている奴もいる。


ヨシ!今なら飛べるはずである!


残る階はあと5階ほどである!


ここから群衆の中にダイブしてやろう・・・


そう決めた俺は階段の隅にあったブルーのシートを首に巻き、

階段の手すりの上に勢いよくよじ登り上に足をかけた。



「とおぉぉぉおおおぉおおお!!!!!」



俺は群衆に向かって勢いよく、


まるでムササビのように両手を大きく広げ


華麗に羽ばたき飛んだのである。




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