第4話 不審な住人

部屋の中に入り彼女を風呂に入れようと浴室にぬるま湯を溜めようとした。


その時、けたたましい勢いで玄関のチャイムが鳴った。


(ふぅ~出来る男に休息は無しか・・)


俺は仕方なくインターホン越しに


「なんだね?」


と答えた。


「今すぐ出てこい!」


聞きなれた声である。



この男は刑事であり相当に俺の事を崇拝してやまぬらしく、

暇さえあれば我が邸を尋ねてくる。


俺は仕方なく玄関の鍵を開け、

俺の事を崇拝してやまぬ刑事に問いかけた。


「またお前か?私に何の用だね?」


「・・・・取り敢えずその頭に被っているパンツをとって服を着ろ!」


イカン!


不覚にも変身したままの姿であったのを忘れていた。



完璧を求める俺!


全てやり直しだ!



さて・・この場合どこからやり直せばいいんだ?



俺がしばし顎に手をあて思考していると、


俺の事を崇拝してやまぬ刑事は


「早く服を着ろ!」


と俺に再び助言を促してきた。



そうか!



俺は俺の事を崇拝してやまぬ刑事を撥ね退け、

一階へと続く階段にまっすぐ走ろうとした。


その時である。


突然前方のエレベーターから若い女が姿を現した。



「きゃあぁあああ!!!!!!!!!!!!!!!!!」


変身した俺の姿に興奮を隠せなかったのであろう。



黄色い歓声と共にその女はそのまま、

俺の向かう階段の方向に走っていった。


イカン!


グズグズはしていられない!


俺もその女が走っていった階段方向に、

負けじと全力で女を追う様にして走り出した・・・




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