第6話
クラスメイトに見捨てられて崖から落ちた。
俺は死んだと思ってたんだ。
でも、違った。
目を覚ますと、自分が生きてる事が分かった。
「……生きてる」
遠足で崖からがけから落ちかけていたクラスメイトを、助けずにそのまま落っことす……なんて事が本当にあるのか。
一瞬あの出来事は夢ではなかったのかと疑い掛けたが、登山用の服装を見て、幻想は砕け散った。
「くそっ」
憤りの感情のままに、言葉を吐き捨てる。
だが、すぐにおかしな事に気が付いた。
「生きてる?」
当たり前の事だが、俺は結構な高所から突き落とされた。
死んでいてもおかしくないし、何かの奇跡で命を拾ていたとしても、普通に考え事ができるような状態であるはずがなかったのだ。
それだというのに。
「あんまり痛くないな」
自分の体を眺めてみるが、小さな擦り傷はいくつかあるものの、目をおおいたくなるような怪我や出血などはまったくしていなかったのだ。
「どういう事だ?」
首をひねりつつも、周囲を見まわしてみる。
森の中だ。
木が立ち並び、雑草が伸び放題でおいしげっている。
辺りは薄暗い。
夜になってしまったのだろう。
じっくり観察している余裕がなかったからあの時は分からなかったが、崖の下には森があったようだ。
無事だったという現実にやや首をかしげたくなったが、落下の途中で何かクッションになるようなものにでもぶつかって、衝撃が和らいだのかもしれない。
こんな暗闇では事実を確かめる事もできないし、天をおおいつくすように並んでいる木々からは、わずかな夜空と星月の明りしか見えない。
「それよりも、これからどうするかだな」
理由を考える事を後にして、偶然の幸運で助かった命をどうするか考える事にした。
印象に残る掴みのシーンを研究 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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