第2話 懲罰部隊の招集
「最悪だな、前科3犯のクソ野郎じゃないか」
「んだこらボケナス、てめぇは6犯だろうが」
6畳1間、口笛の響く狭い空間に男女合わせて8人、といってもうち7人は男だが。
「いくら懲罰部隊だからって部屋狭すぎじゃないっすか、6畳1間に8人て」
「これなら独房の方が広いぜ、ケラケラ」
「独房って、僕らは3人で1つ部屋だったしそれでもこの部屋くらいはありましたけど」
「俺らは4畳半くらいだったな、一人部屋で」
「わお、重罪人じゃん」
「俺らは死刑囚か終身刑だったからな」
部屋の隅に目を瞑りならがら口笛を吹き立つ男が1人、入口付近に小柄の女性が1人。
ベージツー、スリーの2人。そして新入りの4人、ベージ隊の全員が顔合わせ及び招集されていた。
「自己紹介がまだだったな、俺はクレスト、ベージ隊の現2番手だ」
「なぁ、その前にあんたらってみんなそんなコードネームなわけ?」
「本名を聞くと震え上がってちびる奴が多いもんでね、あと女の子に嫌われる。そこの年中口笛吹いてる無口な奴がクリーガー、愛すべき我が隊の隊長だ」
作戦指揮と統率を取る事に長けているクレスト、現時点ではベージ隊の司令塔。
機械の操作からハッキング、ピッキング、索敵から精密射撃まで、なんでもござれのスペシャリスト、欠点があるとすれば軍人の割には鈍足。
現実ではメガネを掛けているが、その必要性も戦場では無くなった。
「じゃあ、僕も。コードネームはバビロン、偵察と通信と近距離射撃なら自信があります」
「え、みんなコードネームあるの!? 俺も考えよ」
軍人とは思えないくらい小柄な男性、先程からベージツーやベージスリーと話していた内の一人であった。
「俺はボマー、そこのクレストとは腐れ縁だ、と言っても一方的にあいつがつっかかってくるだけだがな」
「クレストの嫌いなタイプだもんな、ケッケッケッ」
「あんたは?」
「おらぁリッパー、ベージスリーだケラケラ」
薄ら笑いの多い男がリッパー、そして冒頭でクレストと言い合っていた男がボマー。
「俺はヘカテー、ロングレンジの射撃が得意だ」
リッパーやクレストの輪の中にはいたが一言も発していなかった大柄な男がヘカテー、身長は2m以上だろうか。
「よし、じゃあ俺はヴィジランテ近距離、中距離の戦闘なら大得意だぜ」
「これでこっち側のは全員だな? そこのお嬢さんは?」
クレストが締め、部屋の入口付近に居た女性へと視線を向けた。
「わ、私はムラセ・ユイ中尉です! 衛生兵としてベージ隊に配属されました!」
「一般兵か」
「しかも1番階級高いジャーン」
「え!? そ、そうなんですか!?」
「だって、俺らは全員赤字階級だモーン」
「赤字階級?」
「俺ら懲罰兵に付けられる階級だよ、階級章に赤色の勲章がつく、俺は赤十字3つ、リッパーも3つ。そして、クリーガーは赤星3つこっち側の人間で最上級だ、そっちからしたら最下級だろうがな」
「あんたは今日からクイーンでいいだろう、なんでこんな所に配属されたのかは知らないがな」
「けっ、いいネーミングセンスしてんなー隊長さんよケッケッケッ」
「あ、ありがとうございます」
隊の中で1番階級の高いものが指揮官や、隊長になるそれは軍の決まりだ。だが、ベージ隊では1番階級の低いものが隊長になる。
それは罪を償わせるため、何年も何十年も、ベージ隊の面々は逃れられない罪から、償われない罪の償いを続ける。
それが、生き続けた者の罪を課せられた者の宿命だから。
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