第3話

さてと。上手く行きつつある。である。今は女王陛下の勅許をとり、第2王子ジギスムント殿下のお膝元嘗ての王都に来ています。僕の居ない間に女王派の諸侯から、と言っても僕とニコライエンとバローネさんの所しか無いのだけれど、徴兵権を採り上げ軍は中央集権化する。


「…アーサー様。完遂しました。」


「結構。引き続き、勢力を維持しろ。」


ふと、現れたローブで姿を隠した男。彼が言ったのは、暗黒街がこちらに付いたという事と武器商会を掌握したとの報告だ。これで5年稼ぐ。その間に後装式野戦砲と機関銃を開発しなくてはね。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「アーサー様、ローゼリア様。良くいらっしゃいました。」


「おはよう。サーシャ。」


サーシャルト・フォン・アンガルト女子爵。彼女は高名な科学者であり王国に名を轟かす美女でもある。アーサーが私の支持を表明してすぐ徴兵権を差し出しアーサーの下に入った。学生時代からアーサーとの肉体関係が噂されていたが事実なのだろう。


「おはよ、サーシャ」


それでも学生時代からの友人である事には変わらない。


「それでは説明を始めます。先ず、野戦砲です。二種類、122mmと152mmの榴弾砲を運用します」


二種類の野戦砲、後装式というのは、かなり強力と聞く。


「122mm野戦砲はMC1榴弾砲と制式名を与えます。38口径の砲身に有効射程15kmから21km。1分間に7から8発の砲弾の発射が可能です。」


兵士達が砲撃を行う。轟音をたて、着弾するとそこにはオレンジ色の炎が見える。


「続いては152mm野戦砲。こちらはMC2榴弾砲の制式名を与えます。砲身長25口径、射程は17~24km。1分間に5、6発の砲撃を可能とします。」


「素晴らしいね。流石サーシャだ。」


アーサーは豪奢な赤髪を揺らしつつサーシャに振り直る。


「ありがとうございます。」


顔を赤らめ、アーサーへと潤んだ目を向ける。それに微笑み空気が甘ったるくなる。


「…機関銃の説明をして貰えるかしら。」


「すいません。こちらです。」


手渡された機関銃をアーサーが構える。


「100連ドラムマガジンで射程距離約800m程です。弾薬は新式小銃と同じ7.62×54mm弾を使用します。こちらは小部隊に配備する火力の重点になると軍部からの報告を受けています。制式名は未定です。」


「サーシャ機関銃。開発者の名を取ってサーシャ機関銃だ。」


「光栄です。そしてこちらが戦線で敵部隊を掃討する為に使用すると説明を受けた重機関銃です。制式名は如何しましょう。」


「ローゼ重機関銃だね。」


「ありがとうございます。それでは弾薬は12.7×108mm弾。装弾数はベルト給弾の50連装。」


有用性はあるとアーサーは考えている。だけど、2年も経たずにで全て開発実用化は早すぎる。


「随分早いわね。」


「あ、それはアーサー様から古代文明の資料の提供を受けたので。」


古代文明?そんな話は聞いていない。彼は既に兵士に重機関銃の仕組みの説明を受けている。こちらの話が聞こえないはずが無い。それに対して反応をしない。彼の本意は分からない。


。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。:+* ゚ ゜゚ *+:。.。.。:+* ゚ ゜゚

「それでは王国軍統帥会議を始める!」


「まずは王国軍全ての指揮権が女王陛下が保有する事を確認しましょう。我らが女王陛下が最高統帥権を保有する事に反対の者は起立を願います。」


反対する者の起立を要求する。これでは誰も立ち上がれない。


「居ないようですね。それではローゼリア女王陛下に王国大元帥の階級と最高統帥権を付与します。ラインハルト上級大将、貴官から提言を。」


「はい。ローゼリア陛下を保護され、王権の奪還に寄与している、アーサー殿へ王国軍元帥と王国軍統帥会議議長職の提案致します。」


「儂は反対だ。ウォルバートは未だ大きな貢献を成していない。」


かつての王国軍大将、7000の騎兵を率いて合流しいち早く火器の優位性を認識しカービン騎兵部隊を指揮する王国軍内部最大の僕の支持者である、ウォルター・フォンラインハルト侯爵。

それに対して反対したのは王国軍中将であり近代火器に懐疑的である懐古主義者ディートリヒ・フォン・ヴァイゼク伯爵。


「第一若造に指揮が取れるとは思えん。」


そこで僕の後ろに控える近衛猟兵隊長兼侍女のフェレスが懐からリボルバーを抜きヴァイゼクに銃口を向ける。それを片手を上げ制し、ヴァイゼクへと睨む。


「僕に対する侮辱は辞めてもらいたい。」


「ケヒラー・フォン・エアハルトです。小官はアーサー様の王国軍元帥並びに王国軍統帥会議議長職の提案へ賛成致します。」


エアハルト子爵。かなりの金をウォルバート家は貸している。優秀ではあるが唯一の問題は金を使い過ぎる所だろう。これで空気を変え、僕の隣に控えるローゼも賛同し僕が実質的な王国軍の指揮権を握る事となる。


「王国伯爵アーサー・リッター・フォン・ウォルバート元帥の名において各位の配置を発表する。まずは15師団を編制する。第一歩兵師団ヴァイゼク中将を師団長とする。第二騎兵師団マクミラン少将を師団長とする。第三歩兵師団カンネー少将、第四歩兵師団ロードリン少将、第五騎兵師団ブラウン中将。これを統括する物としてハルベルツ王国軍第一軍団を設置し軍団長にラインハルト上級大将を親任する。第二軍団長ソナリエーテ上級大将、第六歩兵師団バルダン中将、第七歩兵師団ヘルナー中将、第八騎兵師団ニコライエン少将、第九騎兵師団ヴァルター少将、第十騎兵師団タイラン少将。第三軍団は僕が軍団長だ。近衛第一騎兵師団ヘンナルト近衛少将、近衛第二騎兵師団ヴィステルバハ近衛少将、近衛第三歩兵師団ファーレンハイト近衛少将、近衛第四騎兵師団エアハルト近衛中将、近衛第五歩兵師団オラニエンブルク近衛中将。以上だ。さぁ、諸君女王陛下と王国に栄光を!」


「「「「王国万歳!女王陛下万歳!」」」」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る