第14話 奴隷商2
「ヤマト様、こちらが竜人族の戦士ツバキとその妹シオンです」
オジサンに言われて改めて女性二人を見る。一人はベッドに寝ており顔だけは見えているのだが、青い瞳と水色の髪が美しい美少女。年は13歳程度だろうか幼さを残す顔立ちが人形のような美しさだ。恐らくこちらが妹のシオンだろう。
もう一人はベッドの横に腰掛けて俺達を、いや、俺を見定めるかのような熱い視線を送ってくれる妙齢の美女。青い瞳とシオンより濃いめの水色の長い髪を後ろで束ねている。胸が重いのか知らんが両手を胸の下で組んでいるのでその巨峰が際立っている。いやー眼福だねぇ。おっと。
「は、初めまして。えっと、ヤマトです。よろしくお願いします」
自己紹介って何をすればいいんだ!? 趣味? わかんない。職業? 薬師? ポーション職人? どっち!?
「あら? 今度はずいぶんと若い子ですのね。この子が私の要望に応えられると?」
手を顔に当てて微笑むとかなんかエロイんですけど。このツバキさん色気が凄い。おっさん連中を見たからじゃなく、色眼鏡を外しても絶世の美女だ。手の甲と首回りに白い鱗みたいなヤツが見えているけどそれ以外は人間と何も変わらない。これで俺を守れるほど強いってメルビンさんが推すほどなんだろ? 異世界サイコー!
「ヤマト君。彼女達は竜人族だ。信頼には信頼で応え、恩には忠義で応える。彼女達が望むのは――」
「私が望むのは妹の治療。完治、とまでは言いませんわ。ただ十分な栄養のある食事と病状が悪化しないだけのポーション、そして安静に安らげる場所。それだけですわよ? どうかしら? 貴方に用意が出来て?」
食事は病人食ってことか? 作れる人を探す必要があるだろうけどどうにかなるか? ポーションは問題ない。安らげる場所ってことは宿とかじゃなくて一軒家だよね? すぐには無理かな? 貸家ってあるのかな?
「メルビンさん、十分な栄養のある食事を用意出来る料理人と一軒家ってどれくらい掛かりますか?」
「え? あぁ、料理は食材を用意すれば彼女達でも出来るだろう。一軒家なら南区の方に幾つかあるだろうし、月に銀貨十枚もあれば借りれるはずだよ」
銀貨十枚か。食材が残り二十枚で足りないとならないなら問題ないな。今後もポーションを売れば問題ないだろう。
「問題ないみたいです」
「…………肝心なポーションの話が抜けてますわよ?」
「ポーションは問題ありませんよ。僕が作れますから」
「貴方が? ……失礼ですが、どの程度を御用できます?」
ま、妹の病状が掛かっているなら疑っても仕方がないか。ならとりあえず作っておいたDランクポーションを渡そう。あ、一本割れてる。セルガに蹴られた時か。まぁいいや、どうせまだ二本あるし。一本をツバキに手渡す為に近づいたら花のいい香りがしていた。
これは是非とも護衛として傍にいて欲しいです。
「これは、貴方が?」
「ええ。今の手持ちにそれ以上のものはありませんけど、明日以降であれば用意出来ると思います」
俺がツバキに答えると俺を除く全員が息を飲んだ。え? マズイ? Cランクは作れる人いるってメルビンさん言ってたよね? セルガがDランク作れるんだから俺がCランク作れてもおかしくないよね?
「……このポーションをどの程度の頻度でお使い頂けますか?」
「え? えーと、まだはっきり言えませんけど、問題なく作れたら一日四本は大丈夫かな? 明日になればもう少しはっきりした数字が言えると思います」
今日生み出しているDランクポーションの数は四つだから最低でも四つは大丈夫だ。宿に着いたら最大数と明日の朝には再度生み出せるか試せるんだけどな。
「そう、ですか。嘘は言っていないみたいですわね。……ふふふ、シオン? 彼で宜しいですか?」
「はい、お姉さま。ゴホゴホ、わ、私はお姉さまの瞳を信じます、ゴホゴホ」
「え、大丈夫ですか? それあげますから使って下さい」
「ヤマト君!? まだ契約前だよ!」
「あ、そうか、オジサンにあげるから彼女に使ってくれませんか?」
彼女達が奴隷なら今の所有者は奴隷商の管理人であるオジサンだよな。いきなり俺がポーションを与えたら問題だよね。
「は、はは。メルビン様、宜しいですね? ツバキ、使用を許可する」
「ッ、感謝します」
ツバキは俺の方を見て頭を下げた。うん、流石にここでオジサンにだけ頭を下げたらモヤっとしたと思う。
でもDランクぐらいで大袈裟だよな。そもそもDランクで治るのか?
「彼女の病は邪神の呪い、不治の病だ。竜人族の強靭な精神力で耐えているのだろうけど凄まじい激痛が全身を巡っているはずだ。ポーションを使うことで一時的ではあるけどその痛みから解放されるそうだ」
なにそれ、酷過ぎでしょ。治す方法ないのか? ないから不治の病か。……Aランクポーションで治るかな?
「ヤマトさん、ありがとうございます。身体が楽になりました」
ポーションを飲んだシオンがベッドから身体を起こし微笑む笑顔が眩しい! 深窓の令嬢ここに極めり!
「…………。ヤマト君、彼女達の事気に入ったかい?」
「はい!」
「ではヤマト様、少しあちらでお話を」
メルビンさんとオジサンに誘導されて一緒に部屋出る。そのまま突当りの部屋に入るとそこは応接室なっていた。
ソファーを勧められて座ると俺の前に二人が腰掛けた。
……メルビンさんはこっち側じゃないのね?
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