第5話 そんな、私がおちるなんて

「で、どこが凝ってますか?」

一は坦々と聞くと、

「身体全体よ。」

遥は強い口調で言った。

「んな漠然と言われても。」

一は困惑したが、

「じゃあ、全体を揉んで頂戴。」

遥は注文した。

一は困惑したが、遥を仰向けにして、仕方なく肩から揉み始めた。

「・・・なかなか、気持ち良いじゃない。」

遥は一の意外な手捌きに少し驚いた。

一は遥の腕、脇と揉んだ。

「・・・ん。」

遥は少しピクッとした。そして、背中を揉んだ。

「・・・ん。あっ。」

遥は少しずつピクピクし始めた。

時には優しく、時には強く押した。

「・・・ん。ん。効く。」

次は腕と手を揉んだ。

ぎゅっぎゅっ。

「・・・ん。」

遥は少しだけ感じた。

そして、次は腰を押し始めた。

「ん。そこは。あっ。」

一の手は遥の尻の近くまで来ていたので、遥はピクッと反応した。

そして、尻の部分に来ると、

「あの、ちょっと・・・。」

遥は一に小さな声で言ったので、一は集中していて聞こえなかった。

尻の所を優しく揉んだ。

「ん。ああ。」

遥は感じずには居られなかった。

(恥ずかしい。けど気持ちが良い。)

遥の頭はその言葉を往復し始めた。

尻の辺りをモミモミ、モミモミ。

「ん。くっ。あっ。」

遥の吐息が漏れた。

次はふくらはぎを揉み始めた。

(えっ?そんな所?)

と、思った遥自身驚いて、恥ずかしかった。

(私ったら、何を期待して・・・。)

遥は自問自答している間に、ふくらはぎと足を揉んだ。足の裏は意外に硬く、ツボがあった。

(これは揉まないと。)

一は持ち前のプロ意識で揉んだ。

「・・・、あっ。っつ。いてっ。」

少し遥は少し痛がったが、気持ちが良かった。

次はいよいよ太ももである。一は優しく揉んだ。

(あっ、これはヤバイ。感じちゃう。)

遥は身体をピクピクし始めた。

「あっ。ん。あっ。」

我慢していた声が漏れた。そして、かなり際どいところも揉み始めたため、

「えっ、そんな。あぁっ。」

遥は止めようとしたが、間に合わず、海老のようにピクピクしていた。

遥は疲れて、はあはあ言っていた。

「はい、次は仰向けになって。」

遥は疲れながらも、一の言う通りに動いた。

「はい、次はここね。」

一が言った場所は胸部だった。

「えっ、そこは。」

遥は今度こそ静止しようとしたが、

「あれ、全体にって言ったのは君だったよね?」

一はすかさず遥に言った。

「けど・・・。」

遥は躊躇ったが、

「綺麗になりたいんでしょ?」

遥は無言になったが、暫くして決意したように、しかし無意識に感情的で、

「分かったわ、揉んで。」

そして、一は遥の胸部を服の上からブラジャーを取って揉んだ。

「ん。」

ピク。

「んん。」

ピクピク。

「んあっ。」

ピク。

「あっ。」

ビクッ。

「えっ、そこも、あぁ!」

・・・こうして、整体は終わった。

「どうでしたか?」

一は遥に聞いた。

何も答えなかった。お金とLineアドレスを渡し、ただこれだけを言って帰った。

「またお願いするわ。」

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